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鬼ヶ岳で情報収集の巻 2013/10/30/14:03:35 No.305  
けいと  
己の何倍も大きな傘の下、そして男の頭の上で、髭を生やした蟹の妖怪は、実によく喋る。

『前にも申しました通り、娯暮雨ちゃんの事やったら、ちんまい頃からよう知っとります。
そうですな…。知らん事があるとすれば…この蟹坊主、生きている内に外の世界を見てみたい、と何度か旅に出たことがあるのです。
その合間に、娯暮雨ちゃんが外界の妖怪に襲われる事件があった。という話は、里に戻って聞いたのですがな…。
半月程、床に伏せていたようですが、その話を聞く頃にはもう元気になっておったものですから。
その件について、蟹坊主は余り深くは聞いてはおらんのです。』

そんな会話を続けながら、その日のその時間帯、声を掛けられそうだったのは、以下の者たち。

・井戸端会議中の奥様3人組
・雨降り小僧
・畑仕事中の鬼
・甘味処の甘酒婆

『さて、卍殿、どちらへ向かわれますかな?この蟹坊主、どこへでもお供致しますぞ。』

Re:鬼ヶ岳で情報収集の巻 2013/11/07/01:29:24 No.323  
けいと  
同じく目を閉じ、男と同じ映像を観た蟹坊主は、ハサミを体の前で組み、
しきりに昔を思い出していた。何かその“ワケ”を掴む糸口はなかろうか、と。

『…そうですな。
あの後、一番にその場に駆けつけたのは、確か現隊長の伍尭殿であった筈。
この蟹坊主、次に卍殿にお会いするまでには約束を取りつけておきましょう。』

男の言葉に、にこりと笑んだ蟹坊主は髭を一撫で。
ゆるりと頭上より降りて、その日はそこで別れた。

Re:鬼ヶ岳で情報収集の巻 2013/11/07/01:04:55 No.322  
hiko  
『その場に居たお前なら解るだろ、アレはハッタリかます奴の目じゃねェ。
蛇が娯暮雨を襲った事には必ず”ワケ”がある。
俺は例え娯暮雨とこの里の者全員を敵に回してでも、そのワケを掘り返す。』

背中を向けたままそれだけを口にすると、男はその場を後にする。
見回した周囲はすっかり薄暗く。男は小さな息を一つ吐いて、
視線を頭上へ。

『娯暮雨が夕方から用があると言ってた。今日はこの辺までにしとこうか。
色々付き合わせて悪かったな、次も宜しく頼むぜ、ブキミガニ。』

目目連のセガレ(3) 2013/11/07/01:00:08 No.321  
けいと  
『…蛇はこの後、犬を呑み、娯暮雨ちゃんを呑みこむ前、こう言っておりました。「お前を食らった後は、この里の生きとし生けるもの全てを余す事なく殺し尽くす」と…。ただ、私には未だに分からんのです。それまで里を出た事もない娯暮雨ちゃんが、何故あれほどまでに蛇に恨まれていたのかが。』

去り際の男に、目目連の倅はそれだけ告げると障子へと戻った。



『 ―…まっすぐな目をした、人でしたね。』

男が去った後、目目連の母は安心したように眼を細めながら、
戻ってきた子を己の内へ迎え入れた。


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再び大きな通りへと戻る頃には、すっかり日が落ちかかっていた。
蟹坊主の話では、妖鬼隊に聞けば間違いないとの事であった。
が、そろそろ妻が帰る刻。今日の所は、聞きこみは此処までか。

Re:鬼ヶ岳で情報収集の巻 2013/11/06/23:11:15 No.320  
hiko  
『お前の言う通り、死んじまったモンからは何も聞く事は出来ねェ。
けど娯暮雨の中でこの一件は終わっちゃいねェンだ。
…推測を限り無く確信に近い所へ持って行く。何をか事を為すならソレからだ。』

-----------------

男は目目連の話を黙って聞き、一度頷くと促されるままに目を閉じる。
臨場感を伴う映像を静かな表情で全身で感じていたが、
映像が進むに連れて男の髪が俄かに逆立ち始める。

映像に集中していたが故に男の現実世界での制御が疎かになっていた。
抑える事を知らない男の殺気は間違いなく幼少の妻を傷つけた相手へと向けられている。

やがて、長い様で短い追憶の体験を終え、男の意識は再びその場所へ帰って来る。
その頃には放たれた殺気も嘘の様に消えてしまっていた。
男の周囲の床は、もう取り替えなければ誰ぞも住む事は敵わないだろう。

『…悪い。
事の委細はよく解った。蛇は間違いなく娯暮雨1人を狙って現れた、
と思って間違いは無さそうだな。
そしてそれは恐らく”鬼狐”なる妖怪の出生と大きく関わってる。

――蟹坊主。
この里で起こる出来事を誰よりも早く、よく知っているのは、
”妖鬼隊”なる連中で間違いは無ェな?』

男は言葉を吐くや否や立ち上がる。

『邪魔したな、借りは必ず返すよ。』

目目連のセガレ(2) 2013/11/06/02:42:32 No.319  
けいと  
道中掛けられた言葉に、蟹坊主も思案を巡らせる。

『言われてみれば、確かに…たし、かに、そうでございますなぁ…。
人間だけを…とは言え娯暮雨ちゃんも妖怪ですからな。それも鬼狐という稀な血筋故か、幼い頃から妖気は強い方ですから、ひょっとすると、その妖気を己の中に取り込んで、里を襲おうと企んでおったのやも知れませぬぞ…?と思うのも、霊気豊かなこの鬼ヶ岳とそこに住まう妖怪は、昔からそれを独占しようとする外界の者に狙われる事が多いのです。…いや、ひょっとすると。でございますぞ?

寧ろそうでないとしたら、何の理由があってそうしたのか…。その蛇に直接その真意を聞けたらば、聞け、たらば…とは思うのですが。死人に口なし。そうもいきませぬからの…』

ずっと小難し気な顔をしている男の頭上で、
蟹坊主は男の頭皮と気分をほぐす様に、左右へ小刻みに揺れ動いた。


――母屋に入ってからは、男が口を開くまで、中はとても静かだった。
男が視線を上げると、障子一面にびっしりと張り着いた目と目が合う。
とはいえ最も目が行くのは、男の目前にある、他よりもひと際大きく、まつ毛の長い女の目だろう。
目目連の核であり、他の目の母的な存在のその片目は、男の挨拶を聞くなりにっこりと微笑んだ。

『ええ…初めまして、卍殿。とは言え、私は少し前から貴方方を「見て」おりました…。
 娯暮雨ちゃんの事ですね…。…その件は、直接「見て」いた私の子から、お話させて頂きましょう。』

穏やかな女の声は、直接脳へと響く。目目連の母が目配せをすると、
無数にある目の内のひとつが障子から抜け出し、床を這って男の前に出た。
一礼する様に一度目を伏せた後、その目、目目連の倅は、語り出す。

『―あの日、私は見ているだけしか出来ませんでした。その事は、今でも悔やんどります。
 あの日の事を話す事で、何かお役に立てるなら、私の見た全てを、お話…いえ、お見せ致しましょう。』

その言葉が聞き届けられたなら、目目連の倅は、瞳を閉じる事を男に願う。
瞳を閉じたなら、ぼんやりと見慣れた鬼ヶ岳の石段が瞼の裏に映る。
その画は、まるでその場に自分が居て、その目で見ていたかの様に徐々に鮮明なものへと変わって行く。

そして男は、第三者の視点から、その日あった出来事を目撃する事になるのだろう。


http://t-mirage.sakura.ne.jp/uploader/src/up1004.zip

―ここで一度、映像は途切れる事となる。


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