room43_20130401
ご案内：「とある街」に雨口新さんが現れました。 (04/01-10:12:48)
雨口新 > ――そして、シンデレラはおうじさまと結婚し、末永くしあわせに暮らしましたとさ。おしまい。（ぱたん、と絵本を閉じる。わあっと子供の歓声。子供たちの後ろに控えていた先生が拍手をし、それにつられて子供たち――“幼児”といったほうが正しい――もぱちぱちと拍手をした） (04/01-10:17:09)
雨口新 > （そこは砂と埃にまみれた、汚く狭い空き地だった。ごみごみと立つ雑居ビルのすき間。隅には小さなバラック小屋が細長く建っている）今日のおはなしはこれでおしまい。みんな聞いてくれてありがとうね。（きゃいのきゃいのと子供たちが絵本に群がる。破かれてはたいへんなので、さらりとかわしてカバンにしまう。その代わり、群がってきた子供たちの頭をなでたり抱っこしたり大騒ぎ。子供たちの格好は、裸よりまし、といったところ。ズタ袋に穴を空けて頭から被っている子供もいる） (04/01-10:21:38)
雨口新 > 「おねーさん、おねーさんつぎはいつくるの？」 んー、いつかなー？ みんながいい子にしていればすぐに来るよ♪ 「すぐっていつ？ 何年何月何時何分地球が何回まわった？」 はいはい、ヘリクツこねないの。 「おねーさん、あたしにもおうじさま来る？」 みゆちゃんならきっとすてきな王子様がくるよ。 「おねーさんおなかすいたー。」 ごはんの時間までがまんしようねーゆうたくーん。 (04/01-10:25:22)
雨口新 > 「はいはーい、ちゃんと席にもどって。あらたお姉さんが帰るから、みんなでお礼をいおうねー。」（そう言って立ち上がった“先生”は、四十がらみのおばさんだった。ピンクの薄汚れたエプロンをつけ、腰にはきっちりリボルバーを差している。背中にももう一丁。女の見立てでは、懐と服の下に飛び出しナイフぐらいは仕込んでいる。）『おねーさん、ありがとうございました。』（子供たちが行儀よくぺこり。）こちらこそ、とても楽しかったよ。ありがとう。（にっこりと女は笑う。） (04/01-10:29:32)
雨口新 > 「それじゃあみんな、お昼寝の時間だから、おへやに戻りましょうね」「やだー。おひるねやだー。もっとあそびたい！」「ちゃんとお昼寝しないと、ごみ拾いにいきませんよ。ごみ拾いにいかないと、どうなるかはわかるよね？」「明日のごはんがなくなっちゃう！」「はい、あけみちゃんはちゃんとわかっているね。えらいよ。はいみんな、おへやに戻りますよー。」（ギャーギャー騒ぐ子供たちを、先生はてきぱきとバラック小屋につれていく。その様子を女は見守っている。バイバイ、と手を振りながら。） (04/01-10:33:20)
雨口新 > （子供たち計十数人とのお昼寝の戦いを終えた先生が、バラック小屋から出てくる）あいかわらずですね、先生。 「生きがいですから。」 ちっとも変わりませんね。 「そうねえ。さすがの私も、18の娘をこの『なかよし保育園』に預かったのは、あれが最初で最後よ。」 ……言わないでください。（ぽりぽりと気まずそうに頬を掻く。） (04/01-10:40:45)
雨口新 > 「あれからもう10年ちょい経つのねー。私も老けるわけよ」 わたしも老けましたよ。 「あらやだ、あなた老けるわけないじゃない。……あら？ でもちょっと老けたかしら。」 皮膚の交換があまりできませんから、古くなるんです。しわもできます。 「そうねえ。気をつけなさいよ？ ケガしても助けられないんだから。」 大丈夫ですよ、先生のほうこそ、お年なんですから気をつけて。 「失礼しちゃうわ。」 (04/01-10:43:47)
雨口新 > 「ま、あらたちゃんが楽しくやってるんだったら文句はないわ。」 ……もうすぐ30ですから、ちゃん付けはちょっと……。 「なに言ってんのよ、なかよし保育園を卒園しても、あなたはずっと私の園児よ。」 ……ハイ。（女は微苦笑した。先生はうふふ、と上品に笑った。） (04/01-10:47:52)
雨口新 > （と、そのとき、バラック小屋からこの世の終わりのような悲鳴が聞こえた。それに泣き声叫び声わめきが混じって、地獄絵図のよう。）「あらっ、あれはゆうたくんだわ。まーたあけみちゃんの頭踏んづけたのかしら。」 あっ、ならわたしはそろそろ。 「そうね。また来てちょうだいね、みんな絵本だいすきだから。いつもどおり、旦那に声かければチェーンは外してくれるわ。」 はい。ありがとうございます。 (04/01-10:54:43)
雨口新 > （ぺこりと女が頭をさげれば、先生はにこにこ手を振って、バラック小屋に戻っていく。女は目を細めそれを見送り、カバンを手に持つと、隙間の空き地を抜け、表通りに戻っていく――） (04/01-10:57:03)
ご案内：「とある街」から雨口新さんが去りました。 (04/01-10:57:07)
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