room31_20140722
ご案内:「神隠しの森の館 -書庫-」にイチイさんが現れました。 (07/23-00:25:52)
イチイ > (既に帳も降りた館には、深と静謐な刻が流れるか。目立つ音も無い闇を破るが如く、書架の世界で扉が開く。カツン、と響いた硬いブーツが無動の空間を侵し、掲げられたランプの淡い光が室内に満たされた夜を打ち払った。 不自然な色で光る赤紫の瞳が、其処に浮かび上がる知識の棚を、緩やかに辿り往く。) ……。(嗚呼、零れた吐息は微か。男は、凡そ現状を理解した。) (07/23-00:32:25)
イチイ > (おそらく此処が、同居人である少女が何時かに語った「館」と呼ばれる場所なのだろう。静かに踏み出す男の後ろ、己の屋敷へ繋がる扉が閉ざされた。立ち並ぶ書架に沿うように、男は進む。視線は次々と移る背表紙へ据えた儘、入り口から最も近い棚から順番に、その内容を確かめては先へ奥へと男は進む。) (07/23-00:36:39)
イチイ > (魔術、呪術、見慣れぬ類の題目を経て、軍事や兵法、学術書までもが並ぶ棚。伝え聞いた認識であれど、下宿らしい場所とは思えぬ程の充実した揃え具合に、感心した様子で薄い唇から吐息が漏れた。ふ、と思い出したように片手が口元に触れ、一つ足りない手応えを思い出す。 しかし、それも束の間、男の意識は再び己の眼前へ。静かな室内に硬い靴音が響き、ランプの揺らぐ灯りが周囲を照らす。) (07/23-00:44:09)
イチイ > (無感情な瞳が文字を素通り、歩調の変わらぬ靴が床で鳴る。漸く、脚を止めたるは娯楽の棚。白い指先が初めて書架へ伸び、ついと背に刻まれた言葉を辿る。 色鮮やかな書物に綴じ込められた、心豊かな物語。其れは己の理解など遠く及ばず、一欠け、二欠け、どれだけの不足を己に知らしめるのか。緩やかに、然したる意味も無さそうに、双眸が瞬く。指を引けば、当然ながら色彩豊かなその本が顔を覗かせる。) (07/23-00:52:49)
イチイ > (【ゲロ甘な恋愛小説】とは、なんて斬新な表題。暫く見詰め合った末、そうと背へ添え直す指で押し遣って、几帳面に並んだ本の列へお帰り頂いた。 おそらくは、否、間違いなく、読んだ処で彼女や彼の心を己が理解出来る事はあるまいと。持ち上げるランプの灯りで周辺の本を確かめてみようとも、結局は再び手を伸ばせる事も無い。ひとつ、ふたつ、瞳を瞬いて、落とした視線は己の胸に。 終えてしまったものはもう返らずに、半ばのものは未だ孵らずに、始まりもしないものは顧みる事も無い。己の為すべき事は、ゆるり、ゆるり、瞬く双眸は何も映さない。) (07/23-01:00:56)
イチイ > (嗚呼、そう得心したように開く唇は何も奏でない。緩やかに、踵を返せば藍鼠の袖が後を追う。最後に、伸ばした指先で一冊の本を引き寄せて、重くも軽くもない其れを腕に抱いた。からん、からん、とランプの金具が歩けば軋む。書架の森を抜け、開く扉の向こうへ待つは己の自室。必要なものは何か、其れは禊に為り得るか。寄せては返す思考の波も散策も、今宵は此れにてお終い。) (07/23-01:07:12)
ご案内:「神隠しの森の館 -書庫-」からイチイさんが去りました。 (07/23-01:07:16)
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