room44_20140729
ご案内:「とある草原」に娯暮雨さんが現れました。 (07/30-01:42:47)
娯暮雨 > (新墨をさあと塗った様な夜空には、塗り残しの様な細々とした月が浮かんでいる。ギ、と車輪の止まる音。草原の片隅に停まった朧車。) (07/30-01:52:13)
娯暮雨 > (来しなに摘んだ白い花束を抱いて朧車から降り立てば、生気豊かな草原に足をついた。)ちょっと…待っててね。(牛舎にくっついた大きな夜叉の顔の鼻筋を一撫でしながら声を掛ける。夜叉の顔が頷く様に縦に揺れるのを見やってから、ふわりと笑めば踵を返し、中央に立つ大木へと歩を進めて) (07/30-01:59:08)
娯暮雨 > (踵を返した後の表情には、もう笑みはない。)……(此処へ来る前に、目目連の倅の家に行った。あの日、ここであった事を知る為に。妖鬼隊に混じって傍らで様子を見ていたという目目連の目を通して、全てを見て来た。今はもう、この地には鬼の姿も、鬼の像も、戦う皆の姿もない。) (07/30-02:10:44)
娯暮雨 > (静かな風が、そよりそよりとスカートの裾を揺らす。ただ1本、その場に佇む大木の前で立ち止まると、少し屈んで花束を供えた。そのまましゃがみ込む事はせず、直ぐに背を起こせば、開けた空に向かってそびえる幹と、そこから広がる枝葉を真っ直ぐに見上げて、深呼吸。) (07/30-02:16:50)
娯暮雨 > (澄んだ空気をゆっくり吸って、ゆっくり吐いて。一呼吸置いた後、目線は少しずつ下がって、前を向いた。)―鬼。(再び開いた口から発せられるのは、語りかける様な声。) (07/30-02:22:27)
娯暮雨 > …拙者は、お主が嫌いでござる。(大切な人達に酷い事を言った。私の存在を否定した。両親が死んだのも鬼のせい。蛇に呪われたのも鬼のせい。ちいさな友達が死ななきゃいけなかったのも、鬼のせい。だから、嫌い。) (07/30-02:27:39)
娯暮雨 > (自分なら、鬼を変えられると思っていた。皆に頼りながらも、心のどこかでは頼る事に引け目を感じていた。結果…思惑は外れて、周囲に重荷を背負わせ、傷つけた。) (07/30-02:30:59)
娯暮雨 > (いつか、言われた言葉がある。「独りで立つというのはいいことだと思う。でも、誰かに頼る弱さを見せたくないという弱さは、滑稽なものよ。」と。その滑稽さは、奥底に潜んでいた鬼が己に及ぼしたものか。それとも、己が鬼に及ぼしたが故に、鬼は変われぬままだったのか。) (07/30-02:33:27)
娯暮雨 > (―…あの時。鬼に魂を呑まれた時。渇欲の渦に埋もれた心地がした。その渦には、微かに、けれど確かに孤独感と寂しさが混じっていた。その時の心地は、今も胸に纏わりつく様に残っている。その昔、胸元に入れ墨をして隠した痣と蛇の鱗の痕。それは、あの日を境に綺麗さっぱり消えて仕舞ったと言うのに。)自分が変われもしないのに、誰かを変えることなんて、出来ぬでござるよね…。(そ、と伸ばした手で木の幹へと触れる。へな、と眉が下がった。) (07/30-02:41:42)
娯暮雨 > 気付くのが遅くてごめんね。―…酷い事、思ってごめんね…。(声を聞きたいと願いながらも、体を襲う激痛がずっと続くと、その余りの苦しさに、もう嫌だと。早く解放されたいと思った日もあった。心の底から歩み寄る事が出来なかったから、痣が疼くばかりで鬼の声は自分に届かなかったのではないか。) (07/30-02:45:33)
娯暮雨 > (木の幹の温度と、そこに触れる自分の手の温度は、酷く似ている。)―それと、ありがとう。(鬼が、自分の窮地を何度か救ってくれたのは事実だった。それが例え、封じた器が壊れる事によって鬼自身も滅びてしまうのを逃れる為だったとしても。そして鬼が自分に取り付きさえしなければ、この時代のこの世界に生きる事もなかった。かけがえのない人達にも出会えなかった。失うものもあったけれど、得たものはとてもとても大きかった。) (07/30-02:50:23)
娯暮雨 > (鬼がいなくなったら、私は、私として胸を張って生きられる。強くなれる。そんな気がしていた。けど、違った。もう、自分の弱さを、自分の中に潜む闇を、誰のせいにも出来なくなった。私はここから、強くならなきゃいけない。変わらなきゃいけない。) (07/30-02:53:46)
娯暮雨 > (幹を撫でる様にして、触れた手をするりと離した。)―お主もどうか、来世では…。(生まれ変われますように。)…拙者は、先に進むでござるよ。 (07/30-03:07:10)
娯暮雨 > (封じられていた鬼も、それを封じていた母親も、妖力をも失った体は、とても軽く感じられた。離した手をもう片方の手で胸元に引き寄せて。踵を返せば朧車の方へと戻る。夜叉の顔に、お待たせと声を掛けて乗り込んだ。止まっていた車輪は再びカラリカラリと廻り始める。) (07/30-03:14:38)
ご案内:「とある草原」から娯暮雨さんが去りました。 (07/30-03:14:41)
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