room44_20150815
ご案内:「とある野原」に娯暮雨さんが現れました。 (08/15-23:46:44)
娯暮雨 > (普段はカラコロと軽やかな音をたてる下駄も、柔らかな草の上では静かだった。辺りはとても静かで、ひっそりとした虫の声と草花の揺れる音だけが耳を撫でる。滅紫色の浴衣に身を包み、歩調はいつも以上にゆったりと。野原の中央に佇むイチョウの巨木の元まで足を進めた。その後ろを一つの鬼火が、ふよふよと追尾する風に浮かんでいる。) (08/15-23:52:31)
娯暮雨 > (月の出ていない夜空は真っ暗で、その分だけ、星々の放つ小さな光がくっきりと鮮やかに見えた。まるで空へと大きな手を伸ばすように広がる巨木の枝には、この季節には青々とした葉が生い茂っている。木陰に入ると、星の光さえ遮られ、辺りは一層暗くなった。) (08/16-00:02:37)
娯暮雨 > (足を止める。追いついた鬼火がその火力を落として、ほとんど姿を見えなくした。だから、辺りは暗いままだった。勿忘草色の瞳で、イチョウの木を見上げる。イチョウの木は、粛然とその場に佇んでいた。白くて柔い手を伸ばして、黒く堅い木の幹に触れる。触れた木の温度は、心地良くも感じる冷たさだった。) (08/16-00:15:35)
娯暮雨 > (伸ばした手に追従するように身を寄せて、片側の頬や狐耳を木の幹にぴったりとくっつける。鼓動こそ聞こえぬものの、木の息遣いの様な、確かな生命の存在をそこに感じる事は出来る。ゆらり、2本の狐尾が揺れ。頭上の枝葉が風に揺れてざわざわと大きな音を立てた。その音は、海で聞いた波の音によく似ていて。どこか寂しげで、それでいて怒っているようにも感じられる音だった。) (08/16-00:28:51)
娯暮雨 > (ただ、そう感じると言うだけで。本当の所は分からない。今も、昔も。それから、この先もずっと分からぬまま。言葉や思いを交わせなかった事を悔んだまま、生きてゆくしかない。今からちょうど一年と少し前、この地にあった赤土の鬼の像が消え、同じ場所に現れたイチョウの木。その幹に身を寄せ、目を伏せて、暫し風に揺れる枝葉の音を聞いていた。) (08/16-00:43:06)
娯暮雨 > ―今も、明るいのは怖いまま…?(己の身に封じられた狂鬼の剥離が進んだ頃、今みたいな暗闇が心地よかった。うっすらと目を開き、ぽつりと尋ねる。勿論、答えは返ってこない。)…拙者はね、もう、蛇は怖くないでござるよ…。(さわわっと一瞬大きく揺れた枝葉の音が、「そんな報告いらないよ!」と言っている様にも思えて。申し訳なさそうにはにかんでは、寄せていた身を剥がす。) (08/16-00:55:18)
娯暮雨 > 呪いはもう解けたけど…。呪いがなくったって、拙者はお主たちの事、忘れぬでござるから。 この先もずっと。(嘗て痣のあった胸元へと手を添え、一歩後ろへと退いて)…死ぬまで、ずっと。(ぽう、と背後に留まっていた鬼火が陽光を強めると、女の影が木の幹に落ちた。光の当たる角度のせいか、落ちた影は少し縦に長く、鬼の角も伸びて見えた。)―また、来るね。(影の落ちる巨木へと優しい声色でそう告げると、踵を返す。) (08/16-01:18:18)
娯暮雨 > (木の暗から出ると、懐から薄い和紙で折られた2つの紙風船を取り出した。それに息を吹き込み、手の平の上で膨らませる。ゆらら、と傍らの鬼火が揺れると、その灯火が分け与えられたかのように紙風船の中に柔らかな明かりが灯った。)ありがとう、ひーちゃん。(へにゃ、と笑って鬼火の友達を見やる。鬼火は、お礼を受けてぴょこんと跳ねるように揺らめいた。更に笑みを深めた後、鬼火と共に視線を手元に戻しては、ふわりと浮き上がり始めた紙風船から手を離して。) (08/16-01:29:33)
娯暮雨 > (今宵、己の里の夜空には、橙色の灯りをともした数多の紙風船が浮かび上がっている。けれど、この地で送る灯はふたつ。それでも、星々の元へと届くほどに浮き上がれば、どの明かりも見分けがつかなくなり、星空の一部になってしまう点では同じだった。そんな果てのない星空をしばらくの間仰ぎ見やった後、ふわゆらりと2本の尻尾を揺らせば、来た時と同じ風にゆったり、静かに、この地を後にしたようで―) (08/16-01:49:44)
ご案内:「とある野原」から娯暮雨さんが去りました。 (08/16-01:49:48)
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