room51_20171126
ご案内:「なんとかの宿場町 -夜-」にアステル☆さんが現れました。 (11/26-20:15:02)
アステル☆ > (というわけで、先日訪れた街道の先にある異世界の宿場町、再び。である。) (11/26-20:15:55)
アステル☆ > (陽は落ちて家々から明かりが漏れている。街道を往く足々は止まり、炊事の煙が細長く立ち上っている。) (11/26-20:19:24)
アステル☆ > (小さく明かりの漏れる建物の一つ、そこで妖精は先日見聞きした経験を元に土産屋に木彫りの像を売り込もうとしていた。) (11/26-20:20:27)
アステル☆ > (コンコンッ!と礼儀正しくも窓をノックする妖精の姿に驚き瞠目する店主を前に)妖精が彫った木彫りの置物に興味は無いか?(窓をすり抜けた妖精が声をかける。) (11/26-20:24:28)
アステル☆ > (やはり妖精の姿は珍しいらしい。不審な動きを見せる店主に)あー……。幻覚でも錯覚でも店主の願望が現になった訳でもないぞ。だから目を擦らなくて良い。あと私に手を伸ばすのもやめるが良い。 (11/26-20:28:11)
アステル☆ > (店主が手を伸ばせば、妖精はするりと窓の向こうへ逃げてしまう。やがて諦めたのか、頭を振りながら店主が椅子に腰を落ち着かせると、妖精は再び窓をすり抜けて店内に入った。) (11/26-20:30:52)
アステル☆ > (店主は言う。「興味があると言えばそりゃあるがね。お前さん、見たところ像なんて持っちゃいないじゃないか?」) (11/26-20:33:39)
アステル☆ > (店主の言葉はもっともだ。何せ妖精、手ぶらである。妖精は鷹揚に頷き、心配には及ばない。と店主の手元に瞬きの道を繋ぐ。現れたのはキーホルダーサイズの小さな熊だ。先日、ミスティが売りこんだ熊と大体同じデザインで、先のデザインは咥えた魚を持ち運ぶ姿だったのに対して、こちらは飛び跳ねる魚をダイナミックキャッチする躍動感に溢れていた。キーホルダーサイズだが。) (11/26-20:41:44)
アステル☆ > (妖精に目が釘付けの店主は、妖精が熊を置いたことに気付かない。仕方ない。妖精は1つ頷き。)うむ。売り込みたいのは、今店主の手元に置いた木彫りだ。どうか手に取ってみてみて欲しい。これを幾許かの通貨と引き換えに引き取ってはくれないか? (11/26-20:45:30)
アステル☆ > (自分が気づかない内に出現した木彫りに驚きながら、店主はそっと手を伸ばす。木彫りは店主の手をすり抜けることなくその手の中に納まった。手触りは確かに木彫りがそこにあると明確に主張しているが、しかし。) (11/26-20:51:46)
アステル☆ > (店主は言う。「モノは、良いな。……俺は妖精と交渉したことが無いから、あえて言うんだが。妖精と言えば"悪戯好き"と相場が決まっている。お前さんが居なくなった後、この木彫りは俺の手元にこのままの形で残るのかね? つまり、こう言っちゃなんだが信用の問題だ。妖精と真っ当な商売はできるのか? っていうな。」) (11/26-20:56:03)
アステル☆ > (妖精は頷いた。店主が妖精を悪戯好きと言葉にした瞬間、妖精の性分は『悪戯好き』に傾倒する。朗らかな笑顔を浮かべて妖精は頷き、店主の意識が自分に向いた瞬間、店主の手の中にある木彫りを別の木彫りにすり替えた。すり替えた木彫りは先と同じく熊である。魚を咥えているのも同じだ。が、ポーズが違った。今はダイナミックキャッチをしている姿から、獲物を食らう食事風景だ。)では、こう考えてはどうだろう。私との会話、そして今店主がしている経験を一つの芸だと思ってほしい。都会のメインストリートで開かれる大道芸だ。その芸を見るのに払うお捻りを、木彫りの代価と考えては貰えないか? (11/26-21:08:32)
アステル☆ > (内心の驚きを隠しながら、店主は頭を働かせる。確かに妖精の言う通り、これは1つのチャンスだ。この妖精がどんな種類の妖精なのかは店主には分からないが、人間とは違う領分に棲む妖精の手に由る物は、恐らく普通では手に入らない物に違いない。この時点で串焼きを買う程度の見物料くらい払っても良い様な気はしていたが、客の言うがままに払っては商売人として名が廃る。) (11/26-21:15:15)
アステル☆ > (場を繋ぐ意味で店主は言う。「芸ね。芸っていうからには、驚きがなくっちゃぁいけない。確かにお前さんを見たのは驚きだったが、お前さんは木彫りを売りに来た。つまりこの木彫りに絡めて何か驚きがなくっちゃぁいけない。そう思わないかい?」言いながら、店主は自分の手のひらで転がしていた木彫りをチラ見して、二度見した。妖精から視線を外すのは躊躇われるが、自分の手の中にある木彫りも気になって、暫く妖精をじっと見て動かないのを確認した後、訝しげに手のひらの中にある木彫りをじっと睨みつける。) (11/26-21:20:30)
アステル☆ > (果たして木彫りは最初からこんなポーズだったろうか? 違った気がするが、店主の中の木彫りは木彫りらしく動かない。まさか生きてはいないだろう。幾ら妖精の手になるものだからってそんな事はありえない。筈だ。何となく店主は木彫りのクマの首元を掻いてやる。――動かない。当然だ。) (11/26-21:24:44)
アステル☆ > (店主の視線が妖精と木彫りとの間を往復する。じっと木彫りを見て、チラッと妖精を見て、木彫りを見て、チララッと妖精を見る。何かを疑っているのは間違いないが、何を疑っているのかまでは分からない。そんな挙動不審な動きに、妖精の悪戯心は大いに満たされていく。楽しい。何度目かの店主の視線の往復で、隙をついて木彫りの向きをZ軸を固定して僅かに回転させた。木彫りの熊の視線は店主に向くが、店主の指に摩擦熱は生じない。) (11/26-21:30:49)
アステル☆ > (店主の呼吸が一瞬止まる。木彫りと視線が合って驚いたらしい。が、特にポーズが変わった訳ではないと気づくと再び呼吸が戻る。店主の呼吸が落ち着くのを見計らって、妖精は再び声をかけた。)――で、どうだろう。その木彫りを買い取ってはもらえないか? (11/26-21:35:49)
アステル☆ > (店主は苦笑して木彫りをテーブルに置いて両手を広げた。「お前さんには負けたよ。そうだなぁ……これくらいでどうだ?」) (11/26-21:56:10)
アステル☆ > (負けたよと言いつつも、店主の提示した額は、軽食一食分には届かないけど、お捻りにしてはほんの少し多い絶妙な塩梅だった。しっかりしている。)感謝する。取引成立だ。 (11/26-22:00:56)
アステル☆ > (だが兎にも角にも、妖精は人間の経済を媒介して自由になる資金を得た。店主がカウンターの上に広げてくれた通貨を瞬きの道で回収し、妖精はふわりと微笑んで翼をひるがえし、窓をすり抜けて夜の町に飛び立っていく。) (11/26-22:04:44)
アステル☆ > (小さな木彫りを弄りながら、店主は言った。「―――――。」) (11/26-22:07:33)
ご案内:「なんとかの宿場町 -夜-」からアステル☆さんが去りました。 (11/26-22:07:36)
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