room50_20180822
ご案内:「とある世界のとある鍛冶屋」にズフルさんが現れました。 (08/22-22:48:03)
ズフル > (父の現場で少年は一人腰を下ろし火のともらない炉を見つめる。 その場所は幼い頃の少年の遊び場でもあった場所で、周囲の商売道具に触れるたびに怒鳴りつけられた頃を思い出す。 何度も何度も読んだ童話、女傑グリムの物語、女性であったが故に騎士になれずそれでもなお人々の為に戦い続けた女傑の英雄譚。 それを始めて読んだ時に少年は剣の道に憧れ、騎士の使う剣を作る父の姿に誇りを持ったのを今でも強く覚えている) (08/22-22:52:37)
ズフル > (それ以来父の工房に忍び込んでは剣を眺め、時には手に取り、そして父に怒鳴りつけられた。 父は、一体どんな気持ちで剣を打っていたのだろうか、思考を巡らせる。 何処までいっても武力は何かを傷つける為以外にはありえない。 父は語った。 ならば、父は誰かを傷つける為に剣を作り、それを使って人は争うのだろうか。 そして笑って人を斬った自分が人を護りたい等と願う事は間違っているのか。 疑問は尽きず、胸に暗い影を落とす。) (08/22-22:57:39)
ズフル > (いっそ少年らしくどうすれば良かったのかと喚き散らせればまだ気も楽だったのかもしれない。 だがそれが出来る程少年は幼くは無かったし、剣を握る以上仕方なの無い事だと全てを割り切れる程大人でもなかった。 燃え残った炭のようにくすぶる感情が、それでも人の生死自体には重きを置けない自分の思考を伴って胸を苦しめる) (08/22-23:00:49)
ご案内:「とある世界のとある鍛冶屋」にアスルさんが現れました。 (08/22-23:02:08)
アスル > (工房に小さな靴音が響く。 仕事の時間は既に終え、明日の仕事に向けて後は眠るだけの時間に、ふと工房に人の気配を感じ、何事かとやってくる。 目の前にあるのは自分の息子の姿で、それを一目見ると同時に男は状況を理解した) またウジウジと一人で悩んでやがるのか。 (男の語調は荒い。 職人として生きてきた者特有の乱雑さが言葉の上に乗る) (08/22-23:04:42)
ズフル > (靴音が聞こえると身を隠したい想いで頭が一杯になった。 国を護ると息巻いて騎士に弟子入りし、ひとしきり修行を終えたと思えば見識を広げると旅に出て、僅かな期間で一時帰郷したと思えば父の工房で悩む自分の姿は傍目に見て何と情けない事だろうかと悲しくなった。) 仕方ないだろ。 ここが一番静かで、落ち着くんだから。 (返す言葉は反抗的な色が乗る物で) (08/22-23:07:16)
アスル > 商売道具には触ってねえだろうな。 (歩を進め一本のハンマーを手に取った。 それは鍛冶の道を志してから、何千何万と金属を打ち続けた相棒で、我ながら手入れが行き届いていると満足の頷きを一つ。) テメエはガキの頃からやれ喧嘩をしただの、やれどうしたら良いかわからねえだの、何かあるたびにここに篭ってたからな。 (胸に浮かぶ僅かな懐かしさに小さな笑みを浮かべ) (08/22-23:10:37)
ズフル > 触ってねえよ。 何度それで殴られたと思ってんだ。 (深くは何も聞いて来ない父の言葉により一層胸が痛んだ。 腰の剣に視線を落とす。 それはこの場所で父が自分の為だけに打ってくれた一本で。 でも、それは誰かを傷つける為の武器に他ならず。 そして少年はこの剣で人を斬った。 人を殺したのだ。) なあ、親父。 (声をかけたのは良い物の続く言葉が喉につっかえて出てこない。 何かを聞きたいのは間違いないのに、何を聞けば良いのか判らない。 居心地の悪い時間が流れた) (08/22-23:14:14)
アスル > (息子の視線が剣に落ちるのを見た。 何となく現状を察し、呼ばれるままに続く言葉を待つ。 だがその先の言葉が聞こえてくる事は無い、一つ、手に持ったハンマーでテーブルに載った金属を打ちつけた。 金属同士がぶつかる音が工房全体に響く。) 剣ってのはな、ズフル。 (もう一度打ち付ける。 また音が響いた) 何処までいったって何かを傷つける武器にしかならねえ。 便利に使う刃物ってだけなら小さなナイフ一本でこと足りる。 それでも人が剣を握るのは、何かを傷つける為だ。 (何年も前から、何度したかもわからない言葉を改めて息子へと投げかけた) (08/22-23:18:33)
ズフル > なら……。 (父の言葉に促されるように口が動いた。) 親父は、何の為に剣を打ってんだ。 誰かを傷つける為の武器を打って、それで誰かが誰かを傷つけて、それが親父のしたい事なのかよ。 (一度口が動いてしまえば、後は考えるまもなくすらすらと言葉が流れだした。 こんなに簡単な事の為に何を戸惑っていたのか判らなくなるほどに) 俺はこの間、始めて人を斬った。 もっと落ち込むかと思ってたけど、思ってたよりはたいした事無くて……でも、笑ってただ、俺。 人と命のやり取りをしなきゃいけない時に、笑ってたんだ。 国を、人を護りたいなんて言いながら。 (08/22-23:23:39)
ズフル > なら……。 (父の言葉に促されるように口が動いた。) 親父は、何の為に剣を打ってんだ。 誰かを傷つける為の武器を打って、それで誰かが誰かを傷つけて、それが親父のしたい事なのかよ。 (一度口が動いてしまえば、後は考えるまもなくすらすらと言葉が流れだした。 こんなに簡単な事の為に何を戸惑っていたのか判らなくなるほどに) 俺はこの間、始めて人を斬った。 もっと落ち込むかと思ってたけど、思ってたよりはたいした事無くて……でも、笑ってたんだ、俺。 人と命のやり取りをしなきゃいけない時に、笑ってたんだ。 国を、人を護りたいなんて言いながら。 (08/22-23:24:37)
アスル > (手に持ったハンマーをテーブルに置き、腕を組んで言葉を聞く。 人を斬ったと聞けば、判っていた事かのように頷き、一度目を瞑った。) ならテメェは、そこで殺されて良かったと思うのか。 (腕を組んだまま口にする、ゆっくりと間を置き続く言葉を口にする) 俺はこの国が大事だ。 国王様がして下さった事を考えりゃ、この国に住む連中は殆どがそうだろう。 肉屋の爺も、花屋の婆も、テメェがガキの頃殴られて泣かされた果物屋のガキだってそうだろうよ。 だから俺は剣を打つ。 魔物も居る、あぶねえ連中だって居る。 そんな中で王国騎士の皆さんが国を護ってくれる為に体張ってくれてんだ、出来る事はねえかって考えるのが男だろう。 だからテメェも剣を握ったんだろうが。 確かに、剣は何かを傷つける為のもんだ。 だがな、剣が無くったって争いは起こる。 大事なもんを持った奴が二人居れば、そこにはいずれ争いが起こっちまうんだ。 なら、自分の大事なもんを護る為には力が要る。 それが、剣だ。 (目を瞑ったまま、ゆっくりと時間をかけて語る) (08/22-23:32:50)
ズフル > (父の言葉は、余りにも判りやすく、余りにも納得出来てしまった。 剣は無くとも争いは起こる。 そしてその争いに勝たねばならないのならば、剣を取らねばならない。 それが何かを護ると言う事で、その結果誰かを虐げる事になったとしても、その罪と責任を背負うのが剣を持った物の責任で。 剣を持って5年。 自分にはその覚悟が無かった事を、深く実感した。) (08/22-23:36:36)
アスル > だからなズフル。 (その言葉の後に、ゆっくりと長く間を置いた。 何を聞いても息子が驚かないだけの心の準備をさせる為の間を。) 俺は、俺の打った剣で何かを切った人の責任と罪を、一緒に背負う為に剣を打ってんだ。 つまりだ。 テメェが俺の打った剣で人を斬った責任も、一緒に背負ってやるって事だ。 だからテメェはテメェの正しいと思う事の為に剣を振ればいい、行き詰まったら帰って来い。 (それだけ言うと父は息子の返事を待たずに帰って行った) (08/22-23:41:38)
ご案内:「とある世界のとある鍛冶屋」からアスルさんが去りました。 (08/22-23:41:57)
ズフル > (自分が思っていたよりも父の覚悟は重かったと思い知る。 自分に想像出来たのは、精々が旅立つ自分の為に剣を打ってくれた粗暴だが根は優しい父といった所で。 その裏には息子の罪を共に背負う為に、息子の罪を他の誰かに背負わせないようにと剣を打ってくれた覚悟があった。 それは自分が誰かを護る為に戦いたい、何て言う子供の夢想とは全く違った物で。 思わず一筋の涙が流れた。) ありがとう、親父。 (少年は一晩を工房で過ごした) (08/22-23:45:41)
ご案内:「とある世界のとある鍛冶屋」からズフルさんが去りました。 (08/22-23:46:05)
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