room49_20180902
ご案内:「異界フソ\ウ -イナリ大社-」にキヨヒメさんが現れました。 (09/02-20:35:47)
キヨヒメ > (――秋。太陽の日差しは既にその猛威を振るうことはなく、彼岸を越えた頃合いに吹く風は、穏やかに何処かへと旅立ってゆく。多くの人妖が住まう安寧の都、ヘイアンキョウよりほど離れた地にその社はあった。) (09/02-20:39:23)
キヨヒメ > (町外れから続く神山イナリ山。人里から近いが、しかし人が住まない地より山道を埋め尽くすように連なる千の鳥居は異界への門の如くそびえ立つ。神域へ繋がる静謐な空気は、爽やかに輝く朝であろうと、安らぎの闇が包み込む宵であろうと変わることはなく、時間に関係なく参拝に訪れる多くの人々を歓迎するかのように満ち満ちていた。この千本鳥居を越えたイナリ山の最中にこそ、数多の人々の信仰を受けし大地と大海の母神イナリと、多くの客人神が住まう『イナリ大社』が存在するのだ。) (09/02-20:46:20)
キヨヒメ > (宵も更けた頃、大社の中はまるで祭をしているかのように賑わっていた。大狐神イナリ――その神性は万のことに渡り、その恩寵を求める人は星の数ほどに居る。八百万の神々の中でも特に抜きん出たその力は、海の向こうから参拝客がくるほどだ。そうでなくともイナリ神は人ならざる神域の美しさを持ち、その眼差しを、笑みを、声を、ひと目見るためだけに来る者すらもいる。ダキニ天やアメノウズメ、タマモ御前といった大社に迎えられた神々への参拝者もおり、神山を求める修験者や或いは物見遊山で来た者、来る者は多岐に渡る。その数多の人々の往来の中に、キヨヒメはいた。) (09/02-20:55:01)
キヨヒメ > (常変わらぬ神威に背筋が伸びる思いになりながらも、キヨヒメは人を避けて本殿へ向けて足を進めてゆく。イナリ神は今宵は宝物殿にて供物を受け取っているところだが、主神の代わりに神使が在中している。神の使いとはいえ自身とはまるで格の違う相手、気さくで優しい相手しかいないとはいえ、失礼があったらどうしよう、と常に緊張が心に走る。この地は数多の神々の力があらゆるルールを捻じ曲げるほどに満ちているが故に、そういった心までもが覗かれているような感覚があるからなおさらだ。やがて、キヨヒメは本殿の裏口に到達し――ちりんちりん、と軽く呼び鈴を鳴らして襟を直した。) (09/02-21:00:54)
キヨヒメ > (呼び鈴を鳴らした後、足音が近づいてくる。数秒もすると、裏口の戸が開かれた。)「お、キヨか。正面から入れば良いものを……まあ、入るがよい」(出迎えたのは、巫女服に身を包んだ狐の少女。歳の頃は10代半ばから後半程度で、しっかりとした表情をした毅然とした佇まいをしている。彼女はイナリ神の第一の神使リツカ。神使の中でも最も古株の化け狐である。リツカはキヨヒメの顔を見るなり、まあ話は中で聞こうとそのまま中へと迎え入れた。) (09/02-21:08:16)
キヨヒメ > 「なるほど、馬上で使える刀が欲しいと」……ええ、出過ぎた願いかとは思いますが(通された座敷は、イナリ神が自堕落な生活を送っている自室である。ポテチが満載された戸棚に鍵がかけられ、掛け軸などもかけられた外界から隔絶された時空にある静かな領域だ。座布団の上に正座しながら、手土産の饅頭を挟んでこれまでの経緯を話したキヨヒメは、緊張混じりの顔でリツカを見ていた。)あの、もしいただけましたら相応のお礼は――(ふむふむ、と話を聞いている気楽な様子に、お金の話を使用と口を開いた途端、リツカはおもむろに立ち上がりズカズカと歩いて座敷の奥に掛けられていたひとふりの太刀を外し、そのままキヨヒメの元に戻ってきた。)「そら、これを持っていくが良い。馬上で使う刀といえば太刀がいいじゃろう」(いきなりのことにキョトンとする客の前に、そのまま当たり前のように太刀を置いた。) (09/02-21:16:13)
キヨヒメ > え、あの……えっ(なんの取り引きもなく持って行けと言われ、流石に目を白黒させはキヨヒメを尻目に、リツカはちょっと皮肉げに微笑んで姿勢を崩す。)「どーせ座敷に飾る用に作った刀じゃ、あのゴクツブ……ゲフン、イナリさまとてないならないでまた鍛えるじゃろ」あの、しかしこんなのタダでいただくわけには!「あー、気にしないでいいのじゃ。どうせまたあってもなくても別のを鍛えて神刀に流用するか、或いはヘイアンキョウの市場に流すことになるからのう。必要な方に使ってもらったほうがこの刀も幸せだと思うがの」(ひらひらと手を振って、こともなげに言うリツカは気楽なもの。ガチガチに緊張して、神が鍛えた刀を前に畏れ多いと萎縮するキヨヒメを見る目は普通に友達に話しかけるかのように軽い。) (09/02-21:22:29)
キヨヒメ > 「そんなに礼をしたいならちょっと模造刀でも貸してほしいのじゃ。その太刀の代わりに置いておきたいからの」は、はい!今すぐに!(もじもじしている姿に、やれやれとばかりにそう切り出した。リツカの言葉を聞いた途端、キヨヒメはすぐに立ち上がり、幾度もお辞儀をして座敷から飛び出すように自身の屋敷へと向かう。後に残されたリツカは、置き土産にされた饅頭を掴むとゆっくりと立ち上がり――)「まったく、タケミナカタさまの悩みもうなずけるというものよ。自分の家だと思ってくつろげばよかろうに……おーい、クズノハー!」(リツカはそのまま、饅頭を片手に後輩のもとへと向かうのであった) (09/02-21:27:02)
ご案内:「異界フソ\ウ -イナリ大社-」からキヨヒメさんが去りました。 (09/02-21:27:09)
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