room51_20200506
ご案内:「異世界 -どこかのオークション-」にミクズさんが現れました。 (05/06-14:59:18)
ミクズ > (ある異世界に交易都市があった。そこは常に様々な商人が集まり、思い思いの品を売っては盛り上がり、金が金を呼ぶように人が集まりとにかく金のやり取りを進めていくのであった。そして今年は年に数度の大型オークションの日。広場に集められた品物を求め、一般人から貴族まで様々な人材が集まってくるものだ。) (05/06-15:03:35)
ミクズ > 「さーあ、お次の出品は行商人からの持ち込みだ!こちらに並んだ酒はいずれも熟成の進んだ高級ヴィンテージ!こちらのワインは30年モノ、こちらのウイスキーは50年モノの最高峰!どれもこれも最低でも20年は経過した酒の数々です!開始価格は金貨15枚!」(並べられた酒瓶の数々を解説する威勢のいい進行役の声。それを聞いた人々が次々と値札を上げ、どんどん値段が吊り上がってゆく。それまでそれなりに安価だった酒は料理人や貴族たちの入札によりあっという間に一般人の手には届かない値段まで上がってゆく。ボチボチ落札されるが、なかなかお目にかかれない50年モノのウイスキーはまったく勢いが落ちない。古い酒というのはとにかく高い、希少かつ元々がいい酒であるがゆえに。) (05/06-15:12:52)
ミクズ > (――出品した当のミクズは、最も大きな承認の横に座ってガンガン吊り上がっていく金額にほくそ笑む。そう、クレヴィスで知り合った豪商を酒場で接待し、商品を見せて代わりに出品をしてもらったわけだ。当然マージンやら手数料は取られるがそれも裏取引でチョット安くしてもらったので、モノすごい利益が懐に舞い込むというハナシ。)「そして今回の目玉商品はこちら!『サンダードラゴンスレイヤー』!」(数々の名品の中でとにかく異彩を放つ一品が現れ、困惑の声が上がる。なんというか、実用一辺倒のシロモノ。どう見てもみすぼらしい剣が絢爛な品が並ぶ中堂々と出品されたのだ。しかも目玉商品とは?……ざわざわと声が響く。) (05/06-15:20:03)
ミクズ > 「……言われたとおり君の渡した品の中でかなり強気な価格設定にしたが、本当にいいのか?」「いいのいいの。うふふ、見ていて?」(心配そうに耳打ちする豪商にミクズは余裕の笑みを崩さない。売れなくて赤字になっても自前の商品のついでに売ってるだけだし仲介手数料はもらってるので損はしないのだが、売れるようにはとても見えず同じ商人として心配になったらしい。女は平気な顔してるがどうにも……といったところ。実際、即座に入札の準備をしていた者達が今回は見送りかなーなんて顔をしている……) (05/06-15:23:41)
ミクズ > (進行役もウケの悪さにちょっと冷や汗をかいていた。かいていたのだが。ポケットの中からメモ書きを取り出すと、一旦目を通して大きく声を張り上げた。)「――これなるは幾星霜の昔、天裂き地を割る迅雷をその身に宿した魔龍“サンダードラゴン”を一太刀のもとに葬り去った伝説の剣。人を、国を護るためにかの龍を殺す為だけに作られ、そして役目を終えて眠りについた龍殺しの剣!世に二つとない唯一無二の聖なる剣!」(その口上にザワザワとざわついた。これまで卓越した経験と審美眼であらゆる一流商品を手に入れて出品してみせた豪商が出すほどの品。そして組合を通さなくては出品できないし、虚偽は許されない。なら、本当にそうかも……という空気が流れ出す。――実際のところは審査員が謎の高熱で寝込んで代わりの人員が急に必要になった運営側をたらし込んで自分が臨時の審査員になり、突破しただけなのだが。)「サンダードラゴンの鱗も肉も骨も触れるだけで容易く切り裂き、致命の一閃を通すほどの品は龍殺しの武器を見たってそうそうありません!今回ここで出品されたのはまさに奇跡!逃してしまえば二度と手に入ることはありません!!」(その口上がキッカケとなり、戦士や貴族がこぞって入札の札を上げる。“伝説の聖剣”という単語が、蒐集欲を掻き立てる。実際、元々コレを売ってた胡散臭い行商人のオッサンのセリフが真実なので天下に謳われる名剣と同クラスのシロモノであることに違いはないのだ、斬れないんで実用性はクソだが。) (05/06-15:46:30)
ミクズ > (目玉商品だけあって値段の跳ね上がり方は尋常ではない。その“機能美”も相まって、最上大業物クラスの扱いで際限なく金額が上がってゆく。……なぜこんなに売れるのかといえばちょっとした細工もしたのである。あの後、ミクズは酒場に帰ったあと念入りに剣の手入れをしたのだ。さすがにハッサンも売り物を大事に扱っていたのか綺麗ではあったが、その上でミクズは日本刀を手入れする要領で刃に新しい油を塗ったのだ。懐紙で拭い取り、打ち粉をポンポンして、また薄く油を塗る。鍛えに鍛えた刃はただ綺麗にするだけで『美』を宿す。ムラマサのような妖刀を手にした時に何でもいいからブッた斬りたくなるのはその美に魅せられて試してみたくなってしまうからだ。無駄を極限まで削ぎ落としたサンダードラゴンスレイヤーも、その一振りだ! 武器マニアにとってもはや垂涎の品、使えるかどうかなど二の次三の次。司会が軽く抜刀した時点で値段の上がり方が加速する。) (05/06-15:58:05)
ミクズ > 「………………」(豪商は信じられないものを見る顔であんぐりとしていた。確かにちょっと見たけど、まさかそんな謂れが……という顔だった。伝説、売る者のネームバリュー、圧倒的な機能美、保存状態の良さ、重ねし年月。あと斬れないというのも価値に寄与しているようだ。目の前で客が胡散臭い商品に群がるのを見つめ、静かにミクズの方を見た。)「――約束の土地と学び舎の開設、考えてくださる?」「……後で捨て値で手放そうと思ってた土地権利書を持ってこよう。……だがあんな僻地でいいのか?このぶんだともっと欲しがっていいだろ?」「ほほほ、それ以上は欲張らないわ」(得体のしれない女だ、という感触を覚えて訝しむその向こうで王侯貴族が落札していた――) (05/06-16:03:35)
ご案内:「異世界 -どこかのオークション-」からミクズさんが去りました。 (05/06-16:03:38)
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