room52_20200603
ご案内:「クレヴィスの街 -和食屋-」に職人さんが現れました。 (06/03-20:30:27)
職人 > (クレヴィスには様々な店がある。あらゆるものが集い、流れてゆくが為に誰かが作るものは誰かにとっての『珍しいもの』となり、その需要によって何でも売れてゆく。たとえば紡織業界は現代的な工業力に駆逐されがちだが、魔法繊維を使った特殊技能の職人技ならば必ず存在する弱い肉体の異世界人向けに販売することができる。食品も同じく、和食などは食品工場の類がそんなにないので伸び伸びと職人が思い思いの技を振るっていることが多い。そう、この油揚げを専門とした和食屋もその一つであった。その、ひとつであったのだが――) (06/03-20:35:22)
職人 > 「今日も客が来ねェな、マサ」「そうですね……天ぷらもサッパリ売れませんし……」(少し前まで安い値段で美味しい油揚げや天ぷらを提供していたこの和食店は、今や存亡の危機に立たされていた。何故こうなったのかというと突如として出現した『きつね印の食品工場』にそれまでの客をまるごと掻っ攫われたからであった。高品質!低価格!特殊技能必要なし!極限まで効率を重視した大量生産により売られまくる天ぷらやいなり寿司は驚異の低価格によるご提供により瞬く間にリピーターが続出したのである。まるで雨後のタケノコの如く生えてきた工場の襲撃は正に寝耳に水、既に複数の店がノレンを下ろして廃業したという。帳簿を見ながら、頭を抱える。)「俺たちの夢もここで終わりか……あっけないもんだったな」「そうッスねぇ……シゲさんの作るいなり寿司はサイコーだったんですけどね」「美味くってもよ、この値段じゃ誰も食わねえよ……力にゃ勝てねえな……」「俺っちも何処かでお抱え料理人にでもなろうかな……ハハッ」 (06/03-20:43:38)
職人 > (二人して俯いて沈んでいると、軒先に何かが投函された。マサと呼ばれた天ぷら職人がそれを取ってくると、何気なく広げてみせた。そこに書いてあったのは「和食屋さん募集中!」と書かれた求人チラシであった)「おいマサ、なんだこりゃ?あのキツネ印のトコが職人求めてるってのか?」「そうみたいッスね。なになに……『前歴不問、給料休日応相談。即戦力求む!』……給料書いてないけど、まさか言い値なのか……?」「三丁目の蕎麦屋も再就職したらしいがそういうことか……ったく潰しておいて腹立つことしやがるな!」「でもシゲさん、意地張ったって客は来ませんよ。いっそ、試しに行ってみませんか?」(相方の言葉にフーム、とシゲは考え込む。ぶっちゃけた話、自分の腕を活かせる場所があるのなら悪くないかもしれない。何しろ金が無い、再スタートをするにも何をするにもとにかく金が必要なのだ。このままでは腕もなまってしまうかもしれぬと考え、しばし熟考し――) (06/03-20:52:09)
職人 > 「……マサ」「あいよ」(短く言葉を交わすと、店仕舞の支度を始めた。どうせ使えない店舗だ、手土産代わりに持っていってやろう。半ばヤケクソで、二人の職人は返り咲く野望と共に職人を破滅させておきながら拾い上げる雌狐の元へ向かうようだ――) (06/03-20:55:19)
職人 > (その様子を、ミクズは遠くのカフェから千里眼の術法で見つめていた。店を畳む二人の様子を見て口元に薄い笑みを浮かべると、ゆるりと立ち上がり会計を済ませて何処かへ立ち去っていった。) (06/03-20:57:11)
ご案内:「クレヴィスの街 -和食屋-」から職人さんが去りました。 (06/03-20:57:15)
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