room52_20201212
ご案内:「※クレヴィスの街 -住宅街-」に情景さんが現れました。 (12/13-00:35:49)
情景 > (―――深夜の住宅街。住民の殆どは寝静まり、月明かりとまばらに灯る街灯だけが視界の頼みであった。) (12/13-00:36:27)
情景 > (『たらったらった~あぁぁ~い~っ―――』 そんな住宅街の一角を、ひとりの若者がおぼつかない足取りで歩く。 顔面はすっかり紅潮し、漂う酒臭さから近くの店で一杯やってきた帰り、といった処だろう。) (12/13-00:37:33)
情景 > (給金を貰って明日は久々の連休、なので今日は仕事仲間たちと夜中まで浴びる程飲んで、明日は昼頃までたっぷり寝過ごしてまた友人と———今度はセクシーな接待を受けながら享楽にふけようとしている。 仕事人間の休日の過ごし方は、どの世界でも共通なのだろう、きっと。) (12/13-00:39:06)
情景 > (――――と、この男性は信じていた。) (12/13-00:39:17)
情景 > (―――しかし、そんな男の背後から迫る影。それは男の浮ついた足取りに完璧に合わせて一定の距離を、足音も気配もなく保ちながら数百メートルほど尾行している。) (12/13-00:40:08)
情景 > (一歩男が歩けば一歩歩き、右にふらつけば右にずれ、左によろめけば左に寄って。 それを何十回か繰り返し、背後の影は機会をうかがう。そして———— 見定め、音もなく駆けだす。 その姿はまさに闇の使徒。 月明かりはおろか街灯の輝きでさえいぶり出せない、完全なる漆黒———。) (12/13-00:41:32)
情景 > (―――『ッ———うわっ!?』 数秒もしないうちに男と影は接触。男は短い悲鳴と共にその場に転げ、暫く呻いてその人影を見上げる。『なんだぁぁぁおめぇぇ!!?どこ見てあるいて———あああっ!!!?』 男は影を指さし怒鳴って立ち上がる。 人影の手には、男の財布が握られていたからだ。 流石に泥酔していても全財産が奪われたとあれば反応しない訳には行かない。 返しやがれぇぇぇ!!という怒号と共に人影に飛びつくも、人影はそれを紙一重でかわす。) (12/13-00:43:24)
情景 > ———へひひひ、ふひひーーーひ、ひひひぃっ!!!  (人影はどこまでも下卑た、あらゆる不快を凝縮させたかのような笑い声をこだまさせると、小走りで駆けだす。 当然、男もそれに負けない汚い怒号を上げながら全力で失踪し追いかける。) (12/13-00:44:12)
情景 > あふ————ひふ————んふふふふはははは!!!(こうして始まる夜中の醜き逃走劇。人影は財布を握ったままその喜色悪い笑い声を上げ続け、男から逃げ続ける。 男はやがて悪酔いに変わりゆく不快感を堪えながら、全財産目掛けて走り続ける。 これが奪われたら明日のセクシーな接待はおろか長屋の家賃———明日のパンにさえ事欠く身分に落ちてしまうのだ。) (12/13-00:45:56)
情景 > (住宅街中で繰り広げられる逃走劇。それは数分におよんだ時、一抹の疑問が生じるだろう。 ———人影は男の財布を掠めとる際、光にさえ捕捉出来ないと言える超速で男に迫っていた。一瞬でもその速度を再び出せば、素人の酔っ払いなど簡単に撒けるというのに、この人影は何故かそれをしない。 それどころか、素人の脚力とほぼ同等の速度を保っている。その姿はまるで———) あひひひひひひ、ひひははッ!! (12/13-00:48:00)
情景 > (『や————ろーーーーぉ――――!!』 だが、数分も全力疾走しどおしでは、運動慣れしていない男の体力が尽きるのは時間の問題。 いくら全財産を取り返さん躍起がこの疾走の発端だったにしても所詮は人間、限界までは破れない。 徐々に足取りはふらつき、速度が落ちてゆく。 人影もそれを一瞥してはそれに合わせて速度を落とし———を何度か繰り返した頃だろうか。)――――はひ?―――。(疑念、と思わしき声を一度漏らすと人影はため息をつき、なんと、急旋回して男の元に駆け寄った。) (『なっ―――ぁ―――ーあぁ――――!!?』 男は先程までの威勢もどこへやら、急に怯えだす。 人影の手に、財布ではなくナイフが握られていたならば———!!!) (12/13-00:51:08)
情景 > (『ぁ――――ぎ—————あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』) (12/13-00:51:25)
情景 > (―――『————ぁ―――――れ。』 男は殺された、と直感した。だが———冬の寒空と冷たい冷気、加えて固く粗い砂利が掌の筋肉を蝕む鈍い痛みに、生きていると実感する。 困惑する男。そして目の前には———男の財布が落ちていた。 すがりつくようにそれを手にとり中身を確認する。―――ほぼ全額残されていた。気持ち銀貨が数枚少ないかもしれないが、兎に角ほぼ殆ど手付かずであった。) ———— 『は—————はああぁぁぁぁぁ―――?』 (一時は全てを失う事を覚悟させられた男は、究極の安堵からその場でへたり込んでしまった。) (12/13-00:54:09)
情景 > (―――『痛ッ!?』 遅れて、右腕に鋭い痛みを覚える。咄嗟に右腕を見てみると、ごく浅い刀傷が真っ赤な口を開けている。 ———あの時、ナイフで斬りつけられたのは現実だった?―――でも、財布は殆ど手つかず―――。―――)―――『———何だって云うんだよぉ―――!?』(安堵が引くのと同時に、今度は戦慄と困惑がさざなみのように襲ってくる。周囲の景色を見渡すと、暗くてよく分からないが結構遠くまで来てしまったようだ。 男は財布をポケットにしまうと、頭を掻きながら唾を吐いた。 『くっそぉ―――!あの野郎!今度会ったら絶対ぇ―――…… あれ?』)) (12/13-00:57:34)
情景 > ( 『————アイツって————えっと、どんな———見た目———あれ、あれ、あれ?』)  (あれ? あれ? あれ? あれ? ——— あれ? ) (12/13-00:58:24)
情景 > (―――あれ?あれあれ?   思い 出せない。 そう、1分前までは確かに俺と追いかけっこしてて、人相も風体も、記憶に焼き付けた筈なんだ。 なのに———今はその全てが完全に黒いシルエットと化した———そんな感覚なんだ。) (12/13-00:59:56)
情景 > (なのに俺は、確かに誰かに財布をスられて追いかけて、こうしてナイフで斬られたのは憶えてる。 ——— 頭を打った、何てのもないし、どうして野郎の姿だけが———あれ、そう言えば、声も思い出せねぇ!!! ———) ————『オイーーーまじかよーーーー』 (アイツの人相風体、外見の情報が完全に抜けちまった———!!いくら酔ってたとはいえ、なんてポカをやらかしてるんだよ俺はぁっ!!? 男は頭を抱えながら何度も地団駄を踏み、忘却してしまった自分への悔しさと苛立ちに叫び続けた。 仮に自警団の詰め所に駆けこんだところで、犯人の外見が全く分からない以上———相手にして貰えない。酔っ払いの戯言だと生暖かくなだめられて、家に帰されるのがオチだ!!!) (12/13-01:02:26)
情景 > (男は泣き寝入りするしかなかった。完全に酔いが醒め、それでも拭えない黒いシルエットに涙がこぼれる程の悔しさに打ち震えるも、それ以上に襲い来る、今にも倒れそうな疲労感に本気でよろめき、悔しい———悔しいけれど、家路につく他に選択肢が残っていなかった。) (12/13-01:04:01)
情景 > (翌日、結局昼過ぎまで寝込んだ男は———あろうことかこの出来事の記憶そのものを有耶無耶にしてしまい、昨日のアレは酔っぱらった俺の妄想だったのかもしれない、などと言い訳を重ねながら、何事も無かったかのように友人を誘って夜の歓楽街に向かって歩き出すのであった。―――) (12/13-01:05:17)
ご案内:「※クレヴィスの街 -住宅街-」から情景さんが去りました。 (12/13-01:05:21)
ご案内:「クレヴィスの街 -1-」に情景さんが現れました。 (12/13-01:05:54)
情景 > (なお、他の目撃者は居ない。2人の怒号と笑い声に睡眠を妨げられた住民は、少なからずいるかもしれないが―――) (12/13-01:06:25)
ご案内:「クレヴィスの街 -1-」から情景さんが去りました。 (12/13-01:06:31)
ご案内:「クレヴィスの街 -1-」から情景さんが去りました。 (12/13-01:06:31)
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