切なげな印象の曲に、耳を傾け続けている。 都の広場で奏でられているような、楽し気な旋律とは違う切なさを帯びたそれは、この女を静かで穏やかな面持ちにさせ、仄かにうっとりとしたような色も見える。
一息、余韻。 和装の少女が演奏を終える様子を見た。 この女の面持ちも夢から覚めたばかりのような、余韻混じりだ。
それから、どうこうする前に、少女がこちらに顔を向けた。 女は少し目を瞬かせる。
「こんにちは♪」
挨拶をされると、この女は朗らかかににこにこと明るく声を弾ませながら挨拶を返す。 しばしの間、一瞬、心地よい草原を吹き抜ける風や植物たちのさやさやとした耳心地良い音が場に響く。 しかし、それは一瞬だけである。 次の瞬間。
「すごい上手な演奏だったね♪なんだか、しんみりしちゃった…。」だとか、「その服綺麗だね♪私の住んでる所だと珍しいよ、東方が好きなの?」だとか、明るいオーラを放つこの人は笑顔で色々と少女に話しかける。 |
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