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 妖精と魔法使いとバレ.. アステル☆  2017/03/12-21:00:44  [568]  

   ┗ 潜伏 アステル☆  2017/03/12-21:03:22  [569]  
      ┗ 接触 ジオ☆  2017/03/28-21:46:14  [573]  
         ┗ 3人目 アステル☆  2017/04/04-23:35:47  [574]  
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                     ┗ 生命氾濫 アステル☆  2017/05/20-17:07:21  [583]  
                        ┗ 板チョコが恋しい ジオ☆  2017/05/22-20:00:20  [585]  
                           ┗ アルブムの見る夢 アステル☆  2017/05/23-23:21:49  [586]  
                              ┗ トリエイジス案件 ジオ☆  2017/05/28-20:57:51  [588]  
                                 ┗ 愉悦 アステル☆  2017/05/28-21:33:45  [589]  
                                    ┗ 思考の沼を歩く ジオ☆  2017/06/05-20:02:17  [591]  
                                       ┗ 悪戯 アステル☆  2017/06/10-03:55:42  [593]  
                                          ┗ 一先ず横に置いといて ジオ☆  2017/06/18-15:49:29  [597]  
                                             ┗ だーれだ! アステル☆  2017/06/18-18:05:42  [598]  
                                                ┗ 降参 ジオ☆  2017/06/18-22:43:31  [599]  


妖精と魔法使いとバレンタイン 2017/03/12/21:00:44 No.568  
アステル☆  
~プロローグ~

妖精と魔法使いは毎年恒例のバレンタインを行っていた。

バレンタイン。それは刃を交えぬ戦いである。
バレンタイン。それは思考の限りを尽くした知略の戦いである。
バレンタイン。それは技術の粋を求めた味覚の祭典である。

傍目には甘い男女の駆け引きに見えるかもしれない。
丘目には睦まじい夫婦のじゃれあいに見えるかもしれない。

しかし当事者たる妖精と魔法使いは、真剣だった。

愛の形は見えずとも、愛は形にできるのだ。

チョコレートの上では如何なる欺瞞も通じず、
誤魔化しようのない真実の心が白日の下に照らされるのである。

先攻、バレンタインは妖精から仕掛ける戦いだ。
後攻、ホワイトデーで魔法使いが繰り出す甘味に負けないためにも、
一気に攻め切り、ここできっちり落としきらなくてはならない。


今年、妖精のチョコレート作りは予期せぬトラブルに見舞われたが、
だからこそ妖精は万難を排してバレンタインに当たった。

今、魔法使いは妖精の構築したチョコレートの中にいる。

潜伏 2017/03/12/21:03:22 No.569  
アステル☆  

もうこれ以上分割できないという物質の最小単位が『チョコレート』という狂った世界の中で、
即席パーティーを結成した妖精と魔法使いは、本格的にチョコレー島を探検する前に腹ごしらえをしていた。

地面に生えていたススキの葉をナイフ代わりに、つやつや光る透明な果物の皮をむく。
現れた果実は本来のそれと同じように水分を含み、噛めば甘酸っぱい柑橘系の果汁を口の中で弾けさせるだろう。

ジオが食べる様子を妖精がいつにも増して嬉しそうに見つめていた。
が、はっと気づいて妖精も同じように腹ごしらえをする。

他愛無い会話を交わしながら山を下りれば、『ジオの寝台』から見えたあの家が近くに見える。

住人は意外に多く、見えている範囲で8、いや10人は居るだろう。
皆、人と同じくらいの大きさで、年の頃は少年少女と言って良い。
一際目を引くのは2人で、リズやベルに良く似ている。

2チームに分かれてフットサルに似たゲームに熱中しているため、妖精とジオには気づいていない様だ。

「さて、どうする?」

ジオの反応が楽しみで仕方ない妖精は、ニヤリとした笑みを浮かべて問いかけた。


接触 2017/03/28/21:46:14 No.573  
ジオ☆  
アステルに果実の皮を剥いてもらい受け取る。
さすがにすぐに口に放り込むことはせず、軽く匂いを嗅ぎ、ペロッとt舐めてから…口の中へと放り込んだ。
瑞々しく、甘酸っぱい果実は十分満足できるもので、飲み込めばアステルに「美味しいねぇ」と嬉しそうに声を掛けた。

「…おお、なんか随分と人数居るなぁ…」
楽し気に遊んでいる子どもたちの様子を伺う。
自分たちの子どもたちに似ている姿を見かけて、思わずふふっと笑いが漏れる。
どうする?と尋ねられ、一瞬考えた後、手を上げてブンブン振りながら子供たちの方へと歩き出した。

「おおーい!何してるんだーい?」

もう少し若ければ「ボクもまぜてー!」と続けてもおかしくないような雰囲気で声を掛けたようだ。

3人目 2017/04/04/23:35:47 No.574  
アステル☆  
「「「「サッカーっ!!」」」」
「「フットボールっ!!」」
「「「ラグビーッ!!」」」

「お父さんもやるっ?!」

突然の呼びかけに子供たちから一斉に返事が返る。
内容はてんでんばらばらで、つまりは『ボール遊び』という点だけが一致しているようだが、
ぱらぱらと振り向いた子供たちは魔法使いを見て硬直した。


「「「――誰っ?!」」」


問いかけは息を揃えたようにぴったり同時に放たれて。
好奇心を抑えきれない子供たちがわらわらと寄ってきて魔法使いを取り囲み、好き勝手に騒ぎ始めた。

「おじさん誰っ?!」
「どこから来たのっ?!」
「あ、分かった! 父さんの変装! 変装だろ?!」
「どうやって来たのっ?!」
「ねぇ、教えて! おじさんの名前っ! わたしブリギット!!」
「いつから居るのっ?!」
「あ! ねーねずるい! ぼくベルザンド!!」
「ブレンダ!!」
「違うよ! お髭生えてない!!」
「――ブランシュっていうの」

実にかまびすしい。
魔法使いの反応などお構いなしに一斉にしゃべるものだから、蜂の巣をひっくり返したような騒ぎだ。
ちなみに同じように渦中に居る筈の妖精は、子供たちから総スルーを食らっている。まるで見えてないように――
――どころか子供たちが妖精の体をすり抜けた。星光の妖精の面目躍如といったところだろうか? ずるい。

「今どこに泊まってるのっ?!」
「「外のお話聞かせて!!」」
「家寄ってくでしょ?!」
「お父さんの名前、ゲオルグっていうんだっ!」
「知りたい! 知りたい!」
「お母さんはアストレア!」
「ベル! ちょっと2人に伝えてきてっ!!」
「うんっ!」

この包囲網から抜けるのは骨だろう。子供とはいえ、皆、魔法使いの胸の高さくらいには上背があるし、
ブリギットと名乗った少女に至っては魔法使いの目の位置くらいまでに大きい。

否。まだ情報を得てないのに包囲網を自ら抜け出すことはないだろう。
手を引かれ、背中を押され、足にじゃれつかれながら訪れた家は、店舗部分が居住区に改装された『アルフィルド』だった。
報せを受けた子供たちの両親が、野暮ったい農作業服のまま子供たちと魔法使いを出迎えてくれる。

男の方は、なるほど。子供たちが間違えたのも頷ける。パッと見ジオと見紛う成りをしている。
柔らかい髪質の長い金髪に碧玉の双眼、170cmほどの身長に農作業で絞られた体躯を服に押し込んで並べてみれば、
魔法使いとかなりの類似性が見られるだろう。

それなら女の方はと言うと、こちらも髪や目、顔の造りにアステルとの類似性が見られるが、数点大きく違う箇所がある。
背に二対の翼がなく、背丈は162cmほどもあり、何よりその包容力のある胸に母性が宿っている。
魔法使いの視線が吸い寄せられたなら、あろう事か妖精と比べてしまったなら、ちょっと覚悟してもらわないといけないかもしれない。

「ほら皆! いつまでもその人に迷惑かけてないで、準備して! 今日はご馳走にするから!」

「あなた、お客さんの案内、お願いね?」

パンパンと手を叩いた女がやったー!と歓声を上げる子供たちを纏めて、男の方へ柔らかく微笑みかけ、厨房へと入っていく。
女に頷き返した男は手を広げながら人好きのする笑みを浮かべて、魔法使いを家の中へ導いた。

「やぁ、何もない所だけど、歓迎するよ。 この島で3人目のお客さん。
 聞いたかもしれないけど、僕はゲオルグ。 あっちは妻のアストレア。 君の名前を教えてもらえるかな。」

魔法使いは何を話し、何を問いかけるだろうか?

『アルフィルドの住人』に総スルーされながらも、妖精はぴったりと魔法使いの隣に座り、穏やかに魔法使いを見つめた。

訪問 2017/04/26/21:11:11 No.577  
ジオ☆  

「わっ ははっ」

まるでくす玉でも割ったかのような賑やかさに目を丸くした。
それから、くすくすと笑い始めた次の瞬間に降ってきた子どもたちからの問いにも目を丸くさせた。

あっという間に子どもたちに囲まれてあわあわし始める。

「あぁ、えーと へ、変装? あ ボクのなまぇ え いつから」

答えようとすると次の声がきて、
声に声が重ねられて、
その声に混ざった声は別の子どもの声が受け取り、
新しい声が上がれば、両側から声に挟まれて…

「おー… はははは」

思わず笑ってしまう。
微妙に子供たちの波が落ち着いてきたところで少しずつ情報が入り始めた。
ふんふん、ふんふん、と頷きながら聞いていると、こどもだんごが動き始めた。
誰かの足を踏まないように気をつけながら、その流れに逆らうことなく歩いていく。

「…おぉ、っと」

子どもたちに引かれて押されてやってきた"見慣れた家"から出てきた人物を見て
なるほど、といった様子で軽く頷いた。
少し違う。でも随分と近い。
鏡映し…とまではいかないが、
双子って言われたら大体の人が違和感を感じないぐらいには、きっと似ているのだろう。

「やあ、どうもどうも。みんなが楽しそうでね。つい声を掛けちゃったんだけど」

出迎えてくれた男性に、そんな風に軽く挨拶をする。

それから… そう、一緒に出てきた女性にも挨拶をする。
冒険者だからね。出会った人物はそれなりに観察する様子だよ。冒険者だからね。

「突然来て騒がせちゃったかな? でも、ありがとう。せっかくだから寄らせてもらうよ」

男性の案内に素直に応じて、
アステルが付いてくるのを確認しながら家の中へと入っていく。

「へぇ ボクは3人目なのかい? 他の人はまだ島にいるのかな…?」

強く答えを求めているわけではないが、聞けるなら聞きたいといった様子で尋ねた。

「ゲオルグと…アストレア。よろしく。
 ボクは魔法使いのジオだよ。
 それにしても…なかなか元気な子どもたちだったね。」

あはは、と苦笑して肩を竦めた。

「何人いるのかも数えられないぐらいだったけど…
 みんな、君たちの子どもなのかい?
 それとも、近所の子どもたちも混ざっていたのかな?」

創世 2017/05/01/00:10:15 No.578  
アステル☆  
家の中へ入る前にこちらへ振り向いてくるジオに、にっこりと妖精が微笑む。
紳士な旦那様にはご褒美が必要だ。いつどんなご褒美をあげようか考えながら、妖精はジオを追いかけた。


ジオを応接間へ案内したゲオルグは後で紹介するからと、まだ興味深そうに応接間を覗いていた子供たちを追い出して、
対面のソファをジオに勧めながら、壁際に置いてある水差しとグラスを手に自分もソファに座る。
ちなみに妖精の分のグラスは無しだ。ひょっとしたら、ゲオルグに妖精は見えてないのかもしれない。

「よろしくジオ。 あの子らは皆、僕らの子供だよ。まぁ、まずは座って楽にしてくれ。」

グラスに注いだ水をジオに差し出して、自分もグラスに口を付けながらゲオルグはソファに背を預けた。
ジオが一息つくのを待って、ゲオルグは口を開いた。

「島を回ったなら気づいたろうけど、この島に人は僕らしかいない。
 最初は、この島は今よりもっと小さくて、歩いて30分くらいで島の周りを一周できるぐらいだったんだ。
 そんな小さな島に僕とアストレア2人だけが居た。互いに自分の名前もない分からない状態でね。

 自分自身に違和感を自覚できるだけの知識はあるけど、記憶はない。
 そんなちぐはぐな状態で合流した僕らは、まず自分の知識の検証を始めたんだ。

 手始めに互いを呼び合う名前を決めた。
 何ができて何ができないのか。大雑把だけど、僕らはそれを直感的に感じることができたから、
 大地で働く人ゲオルギウスと、星のごとく輝く者アストレイアにちなんで僕らは互いに名付けあった。

 僕らは、僕らにできる大抵のことはしてきたと思う。
 島を大きく浮上させて森を生みだし、そこに生息する動物を誕生させたし、
 夜がなく昼もない黄金色に黄昏たこの島に、昼と夜と四季の移ろいを呼び込んだ。

 でも、知的生命種としての『人』と、人が多数集まってできる『社会』は駄目だった。
 何か条件が足りてないのか。それとも『検証』の先に起こりうる未来を先取りして未来視しているのか。
 今もって検証中だし、僕らがどこから来たのかも相変わらず分かってない。

 少なくとも一足飛びには、いきなり知識にある村や町を発生させることは出来ないみたいだから、
 確実にできる僕たちの子供を今は増やしてるんだけどね。

 そこに現れたのが君だ。ジオ。
 君は、僕らが介在することなくこの島に立った、僕とアストレアをルーツとしない完全な第三者だ。

 教えてほしい。
 君はどこから来たのか。その情報は、僕らに新しい知見を齎してくれるだろう。」

長い語りを終えて、ゲオルグは真剣な眼差しをジオへ向けた。

妖精は途中で話に飽きて、部屋の中をうろうろ鑑賞して回っていた。
妖精サイズの普段なら兎も角、今の妖精は人サイズ(162cm)だ。
それなりに目立つが、大きくなった所で中身が変わる訳でもなく、妖精に自重の二文字はないらしい。
置物やタペストリーの前で立ち止まっては何かを確認するように頷いている。



これはすべて『C』 2017/05/06/20:10:52 No.580  
ジオ☆  
(さて、と)

魔法使いの思考は目の前にある環境と、この感覚の外側にある設定との間で軽く混乱していた。
この世界の創造主は自分に何を伝えたいのか… …いや、1つしかないことは解っている。
その上で、それをしっかり受け止めるための下地作りをせねばなるまい。

妖精が施した"仕掛け"は相当なもので、目に見えているもの、見えていないものまでも全てが
チョコレートで構成されていることを忘れそうになる瞬間がある。

今の自分の仮の身体。
口の中に広がる果実の香りと味。
風に揺れる木々の緑。
足の下で確かに在る大地。
透明なグラスに入れられた透明な水。
そして、目の前で活き活きと立ち振る舞う登場人物。

(…チョコってことは逆に思い出さない方がいいか…)

五感では感じ取れないチョコレートを、五感以外の別の部分では確実にチョコレートであると捉えている。
相反する状況を一度に自分の中に留めて処理するのは大変だし、何より…

(…きっと、そういうことじゃない)



ゲオルグの話を軽く頷きながら黙って聞き、最後に尋ねられた。どこから来たのか、と。
あおい視線が一瞬重なる。

それから、冒険者はへらっと苦笑を浮かべて肩を竦めた。

「いやあ、それが実は…あまりよく覚えていないんだ。気が付いたら…多分、この島の一番高い…山かな?
 そのてっぺんに居たんだよ。そこからほとんど真っすぐこの辺りに降りてきて…
 キミの子どもたちの楽しげな声に誘われて、ってところかな。」

きっと周りにいるであろう子どもたちに視線をやり、くすくす笑う。
次にアストレアを見て、またゲオルグに向き直る。

「そうだね… 村や町と呼ばれるような"集まり"になるには…きっと、もっと人数が必要だろうね。
 それぞれに仕事も必要だろうし…今の状態だと、何十年もかかるだろうね…」

ふむむ。ゲオルグは…なんていうか、自分より…ずっと…そう。…あたまよさそう!
まるで自分そっくりなのに…ずいぶんと難しい言葉を使う… ぐぬぬ。なんか悔しい。

そんな風に少々モヤっとした思いを浮かべては消しつつグラスの水をぐいっと飲み干した。

生命氾濫 2017/05/20/17:07:21 No.583  
アステル☆  

『外』にある設定と目の前の光景を見比べたなら、まず目につくのはその外観だろう。

ジオラマの外から見たとき、ジオラマはチョコレートをテーマにしたレジャー施設だった。
ウォータースライダーがあり、フリーフォールがあり、川の様に流れるプールがあれば、
海の様な遠浅の砂浜に波乗りできる場所があり、大きな山にはそこかしこに穴が開き、
その穴から空中には鉄道が架けられていた。

黒く大きなチョコレートの山は、まさにブラックサンダーマウンテンとも言うべきもので、
宙に架けられた鉄道の上を、高速で走るトロッコに乗って安全にスリルを楽しめただろう。

『心身共にチョコレートに浸りながら遊ぶための遊具の山』
これがジオラマを外から見たときの外観である。

妖精も全てチョコレートで出来た衣装に身を包み、
自分と同じサイズのジオの隣で思いきり楽しむつもりだっただろうことは想像に難くない。


では実際に目にしてきた光景はどうかと言えば、レジャー施設のレの字もなく、
見つけられた人工物は『ジオの寝台』に現地人?が作ったと思しき『アルフィルド』。
そしてジオの隣に立つ妖精は、服のみならず中身までジオと同じくチョコレートだ。

ジオラマでは『作り物』でしかなかった自然は、作り物ではない生命に満ち、
目の前に立つゲオルグやアストレア、それに彼らの子供たちはとても『人形』には思えない。
……神さえ用意する妖精のことだ。『ミニスター』や『転ばぬ先の杖』と同様に、
高度な人格を備えた人工知能である可能性も排除はできないが。


そして『外』と『内』とに目を向けるなら、その流れる時間の速さの違いも目につく。
外に居るジオ(本体)の体感時間は、まだ1秒たりとも経過していない。
その速度差は数千万倍などでは足りず、物理的に意味を成す最小の時間単位を比較に用いる程だ。
『黒滝』を扱った経験がなければ、おそらく『外』は中からは何も見えない闇に包まれていただろう。

『――この世界には秘密がある――』と妖精は言った。

その秘密を解き明かした時、妖精が伝えたいことが明らかになるのかもしれない。



ジオの返答にゲオルグは驚いた表情を浮かべた。

「この島で"一番高い山の山頂"に?
 それは……。……その場所には、ベッドがなかったかい?

 そのベッドは、僕らが持ってる一番古い記憶なんだ。
 僕とアストレアは、2人並んでそこに寝かされていた。
 起きた時はそれはもう混乱したんだけど、
 幾ら調べてもそこには何も見つからなかったから、放置していたんだ。

 けど、ジオが来たということは、やっぱりあのベッドに何か……。

 …………。

 ……そうだ! ジオは1人で目覚めたのかい?
 僕はアストレアが居たから色々相談できたけど、君は見た感じ一人みたいだ。」

ジオから話を引き出そうとするゲオルグからは、交渉や隠し事をしようとする気配が見られない。
多少小難しい言い回しをしても、ド田舎の村に一人だけいる学者のような素直な反応だ。

問いかけながら、暫く思考に耽っていたゲオルグは自分の思考の海から戻ってくると
ジオの言葉に素直に喜んだ。

「何十年って本当かい?

 それなら嬉しいな!
 僕らの見積もりでは『基盤』を用意してから4、50億年くらいかかる見込みだったからね。

 でも、自然発生で発展させた複雑系を備えた世界があれば――」

ゲオルグ希望に満ちた未来を語った。

「――『時狭間の森』に接続できる。」


板チョコが恋しい 2017/05/22/20:00:20 No.585  
ジオ☆  
一人で来たのか、と問われれば首を横に振って笑った。

「いいや、ボクの奥さんと一緒に来たんだよ。 えーと…」

話に飽きて出歩いているはずのアステルを座ったまま探す。
まだ部屋の中にいるならば、アステルに向かって、すんごい良い笑顔で笑いかけよう。
部屋から出て行ってしまったか、もしくは不可視化してしまっているなら、
「外に出たみたいだ」と伝えよう。

―――この様子を見て、ゲオルグたちがどのように反応するかを窺う。



そして、出てきた単語に今年のバレンタインの難易度(?)が跳ね上がった。

「トキハザマの森?」

初めて聞いたかのように、ゲオルグの言葉を首を傾げながら返した。
椅子に座りなおす動きの中に、アステルを探す視線を混ぜる。
もし、視界の中に入って目が合うことがあったなら、『どういうこと!?』って表情を一瞬見せるだろう。

「その『トキハザマの森』に接続?…できたら、どうなるんだい?」

その先も聞いておこう。確かに、この世界が置いてあるのはあの世界。
情報として出てきてもおかしくはない…  (かなぁ…) 


最初は遭遇した子どもたちのなかに"秘密"が隠されているのではないかと思っていた。
自分たちの子どものほかに子どもがいる。そこになにか…と考えていた。

次に…彼らもあの山の上のベッドで目が覚めたという情報。
つまり、あれは彼らが作ったものではなく、最初から在ったということになる。
(もう一度調べに行ってみようかな…)


…このバレンタインチョコは…

"なにか"に成ろうとしている…?
もしくは、"なにか"の発生を告げている…?

アルブムの見る夢 2017/05/23/23:21:49 No.586  
アステル☆  

<<<「ボクの奥さんと一緒に来たんだよ」「ボクの奥さんと一緒」「ボクの奥さん」クの奥さん」の奥さん」ん」>>>

ジオの言葉が身体の内側で何度も反響した妖精は、甘美な衝撃に自分自身を強く抱きしめた。
そのまま暫く余韻に浸っていたが、ジオの視線を感じて閉じていた目を開くと、正に妖精の理想な笑顔がそこにあって。
困りながらも嬉しさに表情を蕩けさせてしまう。嗚呼――。

「どうしよう、ジオ。 まだ志半ばだというのに、もう私! 私はここで溶けてしまっても良いかもしれない……っ!」

――こんな台詞が飛び出すくらい、この妖精は一瞬で駄目になった。
何がそんなに琴線に触れたのか。普段のアステルを知る身としてはちょっと違和感を感じるだろうが、とにかく駄目だ。
この妖精、今は使い物にならない。

そしてジオの視線を追って一度はアステルが居る位置を見はしたものの、そこに誰も見つけられず、
ゲオルグは怪しげな者を見る目でジオを見つめ直す。
ジオから見て妖精は姿隠しの類を使ってはいないが、どういう訳か妖精は彼に認識されていないようだ。

ゲオルグが話を続ける中、我に返っていそいそとジオの隣に座りなおした妖精は、居住まいを正してジオに再度おねだりする。

「さ。いいぞジオ。これで彼らにも私が認識できる筈だ。もう一度私を彼らに紹介してくれ。」

勿論この台詞もゲオルグには届いてない。

『どういうこと!?』という表情に、妖精は一瞬きょとんとして、次に胸を張って『どや顔』を披露してくれた。

「ヒミツッ☆」

思わずイラッ☆と来る爽やかな笑顔だ。ちなみにジオもたまに妖精に見せる表情だ。答え合わせにはまだ早い。

自分に見える形で姿を顕した妖精に、ゲオルグが驚きをあらわにソファを立ち上がる。
アステルを数秒凝視して、やがて驚きが去るとアストレアを呼んでゆっくりとソファに座りなおした。

「――っ! ……アストレア! ちょっと来てーっ!」
「なぁにあなた。 まだ夕ご飯の支度の最中なのに。」

前掛けエプロンで手を拭きながらやってくるアストレアに、
ジオから聞かれた時狭間に接続した後の話を一先ず置いてゲオルグがアステルを手で指し示す。
瞬間――部屋を閃光で満たしながら幾つかの『試し』をアステルに強行したアストレアは、一つの結論を得た。

「そこに居る彼女、アストレアに見える? 実体はある? それとも幻影?」
「まさか……。 っ! ……彼女、『アルブム』だわ。
 本来なら顕界に姿を顕すことが無い、私を内包する私の上位互換。私の母体。でも、だからこそこんなこと『ある筈がない』。
 この世界、この宇宙の全て、過去も未来も現在も同時に見定めるあなたは、『現在』の視点は『私』を通して得ている筈。
 ――それが何故、ここに? アルブムなのに一個の人格を持っているあなたは『何』?」
「彼女は、ジオの奥さんだそうだよ。」
「ジオ……お客さん?」

混乱するアストレアは視線をゲオルグとジオとの間で交互に往復させ、最後にじっとアステルに向ける。
真剣に見つめるアストレアに、微笑みで応えるアステルが暫くの沈黙を保って、やがてアストレアが詰めていた息を吐き出した。

「……分かったわ。」
「何か分かったのかい? アストレア。」
「ええ。でもあなたには秘密。1つ言えることは、やっぱり私にはゲオルグが居れば十分で、満たされてるってこと。
 あとちょっとでご飯ができるから、そろそろ話を切り上げてきてね。出来立ての方が美味しいから。」
「……うん。分かった。」

アストレアが台所に向かったあと、ゲオルグは困ったような、だけど確信を含んだ笑顔をジオに向けた。

「…………。僕にはさっぱりなんだけど。――ジオは何か分かったかい?」


※アルブムについての参考:母による妖精の情操教育。
( http://t-mirage.sakura.ne.jp/bbs/smt_bbs.cgi?action=show&txtnumber=log&mynum=206&cat=21&t_type=tree )

語弊を恐れず言うなら、三重世界トリエイジスは究極的には永劫回帰を基本に構築される世界だ。
次の周回へ変遷するトリガは、トリエイジスの基盤を担う新たな妖精が誕生したその瞬間であり、
妖精が増えた瞬間から、一周前の世界に輪をかけて複雑な世界が再構築される。

ただし新しい周回の始まりは前周の上書きではなく、樹木の年輪が育つ様に層になって重なり、
そのため、生した記憶のない妖精(前周や来周の子や孫)が現在の周回に存在することになる。

主体,相対,客体の役割を持って互いに観測を補完しあうために、世界は同時に3つ重ねて構築され、
陸と海と空を備えるという形で1つの世界の構築に最低限必要な妖精はA、B、Cの3グループだ。

A~Zまで綺麗に増えていった場合、構築される世界はより優先される法則が安定し複雑な世界を支えられるが、
妖精ピラミッドが歪になった場合は、その歪が魔に纏わる現象として現れる。

この基準に照らせば、ゲオルグとアストレアとの間に設けられた妖精は、確かにBグループが多い。
その理由がジオが想定するものか否かは、更なる調査が必要だろう。


バレンタインは続く。


トリエイジス案件 2017/05/28/20:57:51 No.588  
ジオ☆  
アステルと、アストレアが接触して何かが起こった。

(おっと これは…少し大変なことになってきたな…)

いくら妖精の夫とはいえ、妖精について知らない事は山ほどある。
現住所がある世界の事も、自宅と自宅の近所と、チョコレートが美味しいお店の事ぐらいしか詳しくはない。
そんな状態に降ってきた新たな"材料"に思わず頭を抱えそうになる。

("アステル"だけで完結しているチョコじゃないのか…まさかトリエイジス絡みだったとは…)

アストレアの上位互換がアステル。
アストレアのアステルに対する認識はアルブム。

(アステルが『個』として認識されている理由はボクだと仮定して…)



「アステルだよ。ボクの奥さん。一緒にこの世界にやってきたんだ。」

混乱している様子のアストレアにほんの少し苦笑を浮かべながら紹介する。
分かった、と台所に戻るアストレアを見送り、微妙な表情のゲオルグを見た。
何か分かったか、と聞かれると肩をすくめる。

「ん、んー…まだまだ材料が足らないなぁ…
 あぁ、そうだ。 食事の準備の邪魔になるといけないから。少し外にいようかな。
 準備が出来たら呼んでほしいな…スッ飛んでいくからっ
 ね。アステル。」

隣に座っているアステルを促して一度外へと出て行こうとする。
先に立ち上がり、アステルへと手を差し出す。

外に出られたなら、「ちょっと整頓…」とアステルにいろいろ伝えようとするようだ。

愉悦 2017/05/28/21:33:45 No.589  
アステル☆  
「ああ。後片付けなら邪魔にならないだろうから、後で手伝わせてほしい。」

差し出された手を取りながら立ち上がってアステルが話す。
材料が足りないとの返事に残念そうな様子を見せながら、ゲオルグは二人に了承した。

「――そうかい? 分かった。それじゃ出来上がったら呼ぶから、この家の近くに居てね。」

◆ ◆ ◆

外に出れば夜の帳はすっかり降りていて、空には一面の星空が広がっていた。
春の季節の夜風は少し涼しいくらいで、とても過ごしやすい。

手をつないだまま外に出て少し歩き、木陰へと入り込んで妖精はジオの前に回り込んでジオの目を見上げる。

「どうした?」

問いかける声音は柔らかく落ち着いて、ジオからの問いかけを促す。
にぎにぎと握られる手の感触から察するに、妖精、すごくこの状況を愉しんでいるらしい。

思考の沼を歩く 2017/06/05/20:02:17 No.591  
ジオ☆  
(たのしんでるなぁ…)

アステルの全身がそう語っている。
自分の中だけでふわふわと苦笑した。

「さて… 晩御飯まで時間も無いだろうけど…」

腕を組み、軽く首を傾げる。数秒間目を閉じて軽く唸り、それから目を開けてアステルを見下ろした。

「最初は…此処だけのお話だと思っていたんだよ。
 で、リズやベルに似た子どもたちが出てきた時点では… …実は、あー…その。」
 
語尾をもごもごと乱し、ふぅ、と息を吐いて続ける。

「…あの、ね。 …"3人目"のことかとも思ったんだ。」

はぁぁ~と息を吐いて額を押さえる。その下の表情は…何とも言えない、恥ずかしそうな顔。

「そしたら…ハッキリとした形で『時狭間』と『アルブム』の言葉が出てきた。
 アストレアの『アルブムなのに』っていうのは…
 おそらく、ボクがいるから、ボクによってアステルがアステルになって…アステルで…」

まとめきれなかった思考の方が先に出てきてしまって、んん?と自分で首を傾げる。

「…えぇと。ここは…というか。もう、一つの世界になろうとしている此処は…
 並行して奔っているトリエイジスか、新しく君が創り出したトリエイジスか…
 って思っているんだけど…」

むぅ、むぅ。
歯切れの悪い、唸るように語る姿は、今一つ掴みきれていないと予測できるだろう。

悪戯 2017/06/10/03:55:42 No.593  
アステル☆  

ジオの羞恥心は良く分からないところで発揮されることが多い。と、妖精は思っている。
今回もその類かとにぎにぎとジオの手の感触を楽しんでいた妖精は、『3人目』という単語にハトが豆鉄砲を食ったような表情になった。
迸る連想ゲームが妖精の頬を段々赤く染めていくのと同時に、翼が放つリフレッシュヒーリングの光が頬の火照りを鎮めていく。
妖精の葛藤は独特で、傍目に凄く分かり易い。

しばらくして我に返った妖精は、口籠るジオの唇に空いている方の人差し指を当てて黙らせて、少し艶めいて微笑んだ。
小さく抑えてあるけれど良く通る鈴を転がすような声がジオの耳朶を叩く。

「――私たちの3人目は、かなり、のんびりした性格の様だ。
 未だにFantasmo Eyeによる投影が見られないことを鑑みると、意識レベルが低くて今はInnocent Eye半ばくらいか?
 今、心層共有殻を反転させてもすぐ再反転してしまうだろうし、
 妖精として顕現できるようになるまでは相当時間がかかるだろう。」

ジオの唇に当てていた人差し指を離して、妖精は代わりにむぎゅっとジオに抱き着いた。
10cmしかない身長差に間近からジオの目を見つめてしっとりと囁く。

「だが、ジオがオオカミさんになるなら話は別だ。
 心層共有殻稼働時の単位時間当たりにおける自我の成長率が遅いなら、心層共有殻の稼働時間を伸ばしてやれば良い。
 つまりありていに言うと、ジオの勘は的を得ていて、私はジオに――」

つま先立って鼻先に吐息が感じられる距離を少しの間だけなくして、しばらくして離した顔を赤らめた。

「――オオカミさんになってほしいと、期待している。――なって?」


◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


ジオの反応を思いっきり楽しんだ妖精は、すっきりした表情で爽やかに笑った。こういう悪戯も妖精は大好きだ。
場数を踏ませすぎると主導権を握られて大変なことになってしまうが( 現にジオは『妖精転がし』を体得してしまった )、
ジオの手のひらの上で転がるなら、それも悪くない選択肢だと妖精は思っている。

「まあ3人目はともかくとして、仮に私とアルブムの関係がジオの言う通りであり、
 そしてここが私が創造した新しいトリエイジスだとして、その目的は推測できるか?」


一先ず横に置いといて 2017/06/18/15:49:29 No.597  
ジオ☆  
妖精の囁きは様々なものを、様々な方向に惑わせる。

囁かれたこちら側はもちろん― ―今回ばかりは、囁いたあちら側も。


☆ミ ☆彡 ☆ミ ☆彡 ☆ミ ☆彡 ☆ミ ☆彡 ☆ミ ☆彡 ☆ミ ☆彡


「目的は… …最終的にはバレンタインに…チョコレートに関連することだとは思うんだけどね。」

そもそも、この島へやってくる前、やってくることになった理由。
これは"アステルからバレンタインの贈り物をもらう"イベントだ。
バレンタインのプレゼントに、チョコレートではない物を選ぶとは思えない。

「生きているチョコレートも、変化するチョコレートも、チョコレートのための場所も、もう…」

同じネタをもう一度繰り返す…?
アステルがそれをするかと言えば…可能性としては低い。
だが、それらを組み合わせて新たなものとして出してくることはあるかもしれない。

「うーん… …うぅーん…」

軽く唸りながら、片手で顎のあたりをうにうにいじり、もう片方の手でアステルの頭をうにうに撫でる。
思考の波間を行ったり来たり。

「…この世界は、ボクと同じようにチョコレートに投影されているどこか別の世界ってことはあるかい?」

だーれだ! 2017/06/18/18:05:42 No.598  
アステル☆  
目的は勿論、バレンタインチョコレートに関連することで間違いない。

自分の頭をうにうに撫でる手にうっとり身を任せながら、妖精は頷いた。
なんということだろう。ジオはナデポも習得している! 驚愕の事実!!

「――大本を辿れば、ここの全ては『投影されていた』ものだ。
 夜空に浮かぶ月の様に、水面に浮かぶ月の様に、大本の輝きを別の媒体に写し取る。
 だが、ある時を境にその関係は『断絶』してしまった。
 もし今も投影が継続されていたなら――いや。過程の話はよしておこうか。」

首を振った妖精は少しジオから離れて、凛とした視線を向ける。

「さぁ、ジオ。思考材料は全て出揃った。 答え合わせと行こう!
 見事看破したなら、私を含めてここは全てジオの物だ。
 分からなかったら、答えは目で見て後から知ることになる。」

 妖精は自分の存在理由が果たせることを渇望しながら、問いかけた。

「私は誰だ?」

降参 2017/06/18/22:43:31 No.599  
ジオ☆  
「…投影されていたもの」

――とすると。
アステルが何らかの理由で、この世界を手放した瞬間があり、
もう一度持つときに持ち方を変えたか、変えねばならなかったか、または他の何か。

…材料をもう一度並べ直してみる。

ここまでで出会った人の言葉
この世界について
アステルとアストレアとゲオルグ
トリエイジスの妖精
過去のバレンタインのチョコレート履歴


 《――興味あるぅ よーし 二人で作ろう――》
 《――一年かけて仕込んだ『万感』が――≫
 《――醸成された世界は――時狭間の世界に通じるだろう――》

急激に脳内の引き出しからバーッと出てきて再生される記憶。

上は星々が輝く黒、下は無限に広がる砂の白
嬉し恥ずかしバレンタインチョコ
あまいあまいイベントの最中、視界の端に度々入り込んでいた、あの、あの、


    「 つぼッッッッ 」


カッ と目を見開いて、思わず叫ぶ。
すぐに落ち着いたが、今度は目の前のアステルを見下ろす。

 《――ジオだ! 本物のジオだ!――》

「じゃあ、アステル、キミは……」

口を半開きにして見つめたまま、黙ってしまった。そのまま数秒間固まっていたあと…
大げさなため息と共にカクーンと肩を落として

「うはぁー… これ、っていう答えが出ない!」

ぶんぶん、と首を横に振って、それからアステルの頭に再びそっと手を伸ばす。

「うーん…残念。でも…最後まで楽しませてもらうことにするよ。」

今度は優しく撫でながら、降参、と苦笑した。

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