妖精と魔法使いとバレンタイン
2017/03/12/21:00:44
No.568
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アステル☆
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~プロローグ~
妖精と魔法使いは毎年恒例のバレンタインを行っていた。
バレンタイン。それは刃を交えぬ戦いである。 バレンタイン。それは思考の限りを尽くした知略の戦いである。 バレンタイン。それは技術の粋を求めた味覚の祭典である。
傍目には甘い男女の駆け引きに見えるかもしれない。 丘目には睦まじい夫婦のじゃれあいに見えるかもしれない。
しかし当事者たる妖精と魔法使いは、真剣だった。
愛の形は見えずとも、愛は形にできるのだ。
チョコレートの上では如何なる欺瞞も通じず、 誤魔化しようのない真実の心が白日の下に照らされるのである。
先攻、バレンタインは妖精から仕掛ける戦いだ。 後攻、ホワイトデーで魔法使いが繰り出す甘味に負けないためにも、 一気に攻め切り、ここできっちり落としきらなくてはならない。
今年、妖精のチョコレート作りは予期せぬトラブルに見舞われたが、 だからこそ妖精は万難を排してバレンタインに当たった。
今、魔法使いは妖精の構築したチョコレートの中にいる。
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